冨田屋

株式会社冨田屋

概要

株式会社冨田屋（とんだや）は、京都府京都市上京区、歴史ある西陣の地に根差す老舗の呉服問屋です。明治時代に創業して以来、長年にわたり呉服を取り扱ってきました。本業である問屋業に加え、近年では京都の豊かな文化を広めるための活動にも力を入れています。

特に注目されるのは、国の登録有形文化財に指定されている伝統的な京町家を「西陣くらしの美術館」として一般に公開している点です。十三代目当主である田中峰子氏の代からこの取り組みが始まり、多くの人々が歴史ある建物や京都の暮らしに触れる機会を提供しています。また、定期的に開催される年中行事や、京都独自のしきたり、着物の着付け、茶席での作法など、多岐にわたる文化体験プログラムも用意されており、これらは予約制で学ぶことができます。

文化財としての建物

現在、冨田屋が店舗兼住宅として使用している建物は、九代目当主によって建てられたものです。この建物は、西陣の商家に特徴的な「表屋造り」と呼ばれる建築様式を持つ京町家であり、往時の店構えが今も大切に維持されています。

その建築様式や歴史的価値が評価され、1999年には主屋、離れ、表蔵、中蔵、宝蔵の計5棟が国の登録有形文化財に登録されました。これは、建物が持つ文化的な重要性を示すものです。さらに、2007年には京都市により景観重要建造物にも指定されており、歴史的な町並みを構成する上で欠かせない存在となっています。

沿革

冨田屋の歴史は、江戸時代中期に初代・冨田屋藤兵衛が伏見の地で両替商を始めたことに遡ります。しかし、1868年（慶応4年）に起こった鳥羽・伏見の戦いにより、当時の店舗は残念ながら全焼してしまいました。

その後、明治時代に入ってから現在の西陣の地に移転し、家業を再建しました。1885年（明治18年）には、九代目当主の手によって現在の店舗兼住宅が建てられました。昭和初期の1935年（昭和10年）には、建物の機能を拡充するため離れが増築されています。

建物自体の歴史的価値が認められるようになり、1999年（平成11年）には店舗を含む5棟が国の登録有形文化財に登録され、広くその価値が認められました。そして2007年（平成19年）には、京都市の景観を保全する上で重要な建物として、京都市景観重要建造物に指定されています。

外部リンク

京町家～西陣・くらしの美術館 冨田屋～（公式サイト）
文化財の建物を活用し、着物ファン拡大を図る 株式会社 冨田屋（京都府中小企業技術センター内）

このように、株式会社冨田屋は伝統的な呉服業を継承しつつ、歴史ある建物を活用した文化発信の拠点としても、京都の街において重要な役割を果たしています。

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