冬宮殿

冬宮殿（Winter Palace）

冬宮殿は、ロシア連邦のサンクトペテルブルクにある歴史的な宮殿で、かつてのロシア帝国の冬季の王宮です。この壮麗な建物は、1754年から1762年にかけて、女帝エリザヴェータ・ペトロヴナの命により建設されました。冬宮は、ロココ建築の典型的な例として知られ、その美しい緑と白の外観は、多くの訪問者を魅了しています。

歴史的背景

冬宮殿の誕生は1711年に遡ります。当初は、ピョートル1世が自分の冬の宮殿として北東のエルミタージュ劇場近くに建設を始めたものでした。この王宮の設計は、イタリア人建築家ドメニコ・トレッツィーニによるものであり、ピョートル・バロック様式が取り入れられています。しかし、その後の建設や改修により、ピョートル1世の初期のビジョンは次第に変わっていきました。

1754年にエリザヴェータ女帝が新たな冬宮殿の建設を発表し、バルトロメオ・ラストレッリによって設計されたロココ様式の宮殿が完成しました。この時から、冬宮殿はロシアの宮廷文化の中心地として機能し、特にエカテリーナ2世大帝の在位中（1762年 - 1796年）には、その威厳を誇示しました。

冬宮殿はレフ・トルストイの小説『戦争と平和』にも登場し、1812年のロシア戦役を背景にした宮廷の光景が描かれています。

火災と改修

1837年には大規模な火災が発生し、冬宮殿は大きな損傷を受けました。皇帝ニコライ1世は早急に修復を命じ、外装の大半はそのままに、いくつかの内装は新古典主義様式に改装されました。この復元作業は、冬宮殿の新たな魅力を引き出す一助となりました。

革命の時代

ロシアの二月革命の結果、冬宮殿は臨時政府の本拠地となりました。しかし、1917年の十月革命ではボリシェヴィキが突入し、臨時政府は崩壊を迎えました。この時の出来事は、ジョン・リードの著書『世界を揺るがした10日間』やその映画「レッズ」に詳細に描写されています。

十月革命後、冬宮殿はエルミタージュ[[美術館]]の本館として利用されることになり、現在でも美術館として多くの人々に親しまれています。冬宮殿はエカテリーナ宮殿など周辺の建物群と共に、2015年に世界遺産に登録されました。

外壁の色変遷

冬宮殿の外壁は、建設当初は薄い黄色でしたが、その後も多くの改装が行われ、さまざまな色に塗り替えられました。1947年に現在の薄い緑色に塗り替えられ、この色は戦後の希望を象徴するものとされています。その後、2014年にはエルミタージュ[[美術館]]の設立250周年を迎えた際に元の色に復元すべきとの計画があったものの、多くの反対を受け、2024年4月現在も薄い緑色のままです。

これまでの外壁の色の変遷として、次の点が挙げられます。

• - 薄い黄色（建設時）
• - 薄いピンク（1850年代）
• - 赤茶色（1913年）
• - 灰色（第2次世界大戦中）
• - 薄い緑色（1947年）

冬宮殿は、その壮麗な建築美と歴史的背景から、訪れる人々に深い感慨をもたらす場所と言えるでしょう。

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