准太上天皇

准太上天皇についての詳細

准太上天皇（じゅんだいじょうてんのう）という言葉は、具体的な地位や称号を指すものではなく、太上天皇に準じた待遇を示します。この用語は、歴史的な背景や文学作品に由来する部分があり、特に『源氏物語』において、主人公光源氏が「太上天皇になずらふ御位」に就くといった記述が見受けられます。これが多くの人々に、あたかも具体的な地位や称号があったかのように誤解させる要因となっています。

実際には、「じゅんだいじょうてんのう」という明確な名詞は存在していません。正確には「太上天皇に准ず」「太上天皇になずらふ」といった表現で理解されるべきです。歴史の中で准太上天皇の具体例として知られているのは、寛仁元年（1017年）に敦明[[親王]]が皇太子の地位を辞退し、見返りに小一条院の院号と年官年爵を授与された事例です。この際、院庁も設置され、上皇に準じた待遇が与えられたものの、特定の称号が与えられたわけではない点に注意が必要です。

また、女院という立場も、院号の授与や年官年爵の賦与、院庁の設置を通じて、上皇に準じた地位とされることがあります。特に、正暦2年（991年）に最初の女院となった東三条院藤原詮子に関しては、彼女の待遇を定めるにあたり、何ら前例がない新しい措置が採用されました。藤原詮子は一条[[天皇]]の生母ではありましたが、皇后の経歴がないため、権威においては一段劣る存在とみなされていました。そのため、彼女を三宮（皇后・皇太后・太皇太后）よりも上位に位置づける必要があり、上皇の待遇が参考にされたことが、後の女院における待遇の先例となったのです。

ただし、時代が進むにつれて、女性の院の地位に至る要件は多様化し、すべての女院が上皇と同じ待遇を享受できたわけではありません。このように、准太上天皇や女院の待遇は、歴史の中で変容し続けるものであり、当時の社会的背景や文化を反映したものでもあります。

脚注

• - 橋本義彦「女院の意義と沿革」『平安貴族』平凡社〈平凡社選書〉、1986年（昭和61年）。
• - 山中裕『源氏物語の史的研究』思文閣出版、1997年（平成9年）。
• - 繁田信一『殴り合う貴族たち』柏書房、2005年（平成17年）。

関連項目

• - 太上天皇
• - 太上法皇
• - 女院
• - 准三宮／准三后／准後
• - 光源氏
• - 敦明[[親王]]

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