敦明親王

敦明親王（あつあきらしんのう）

敦明親王は、三条天皇の第一皇子として生まれ、母は皇后・藤原娍子でした。彼は尊号として小一条院を持ち、皇太子の位を自ら辞退する一方で、准太上天皇としての待遇を受けることになります。

経歴

敦明親王は、正暦5年（994年）に生まれました。父である居貞親王が天皇の皇太子であったため、彼の生まれは特別でした。彼は寛弘3年（1006年）に元服し、その後藤原顕光の娘・延子と結婚。寛弘8年（1011年）には父が天皇に即位し、彼も親王宣下を受けました。

敦明親王は、三条朝の長和3年（1014年）に凶悪な事件を引き起こします。それは、彼の従者が加賀守・源政職を拉致し、敦明が住む堀河邸に監禁して暴行するというものでした。この行為は、政職が彼の妹に対する債務を滞納していたことに起因しているとされ、貴族社会に大きな衝撃を与えました。

長和5年（1016年）、三条天皇は道長との関係が影響し、敦明親王を次期皇太子とする条件で退位しました。皇太子に就任した敦明親王でしたが、彼は権力者の道長からの圧力に悩まされました。道長の圧力や、自身の地位の情勢により、彼は皇太子を辞退し、准太上天皇としての地位を得ることとなります。このように彼は、道長の娘である藤原寛子を妃に迎えました。

しかし、敦明親王は多くの暴力事件に関与したことで知られており、特に彼の妻である延子はこのような状況の中で悲しみのあまり早逝してしまいます。また、その父親も病に倒れ、彼を恨む怨霊となり道長一族に祟ると伝えられています。

敦明の性格や行動は、しばしば短慮として批判されました。彼の暴力沙汰は藤原実資や藤原行成の記録にも残されており、皇太子辞退の際には彼の顔相についても言及されています。暴力事件は彼の行動力を示す裏返しともされますが、即位できる可能性の低い状況において、彼の動きは理解されづらいものでした。

人物像

敦明親王は、短慮な行動で知られる一方、親や兄弟には深い愛情を持っていたとの逸話もあります。特に、長和4年の内裏焼亡の際には、動転しながらも母后を助けようとしたり、父である天皇に対して思いやりを見せた場面が伝わっています。

狩猟を愛する敦明は源頼義に重用され、彼の子孫にあたる者たちとの交流も記録されています。彼には多くの子女があり、娘たちの中には後の皇族や貴族と結婚する者もいました。

敦明親王は、治安元年（1021年）に出家し、永承6年（1051年）に58歳で薨去するまで、波瀾万丈な人生を送りました。彼の生涯は、平安時代の権力闘争や家族の問題、暴力沙汰に彩られており、日本の歴史に名を刻むこととなったのです。

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