凪

凪（なぎ）について

凪（なぎ）とは、風が一時的に吹かない状態を指します。具体的には、風が完全に収まったときや、波が立たない海面が静まっている様子を示します。この状態は一般的に、風力階級の最も弱い「風力0」として分類されることが多く、風速0.0から0.2メートル毎秒の範囲に当たります。このとき、煙が真っ直ぐ上に昇る様子や、海面が鏡のように静かな状態は、凪の重要な指標です。

日本語においては、凪を指す言葉の一つとして「静穏」という表現もありますが、英語では「calm」が用いられ、これは凪と同義の言葉です。また、日本語では特に風力0の条件下での凪に関する記述が見られます。

海や陸を囲む自然環境の中で、凪は海陸風のメカニズムに密接に関連しています。日中には、海から陸に向かって海風が吹き、夜間になると、陸から海へ向かって陸風が流れます。この切り替わりの際には風が一時的に止まり、凪の状態となります。このような状況は「夕凪」（ゆうなぎ）や「朝凪」（あさなぎ）と呼ばれ、それぞれ夕方や朝に見られる特定の凪の現象を指します。

特に、瀬戸内海の沿岸地域では、上空の強風の影響が少ないため、凪が現れることが多くなります。「瀬戸の夕凪」という言葉は、その地域独特の風土を表すもので、日本文化において広く知られています。特に夏の時期には、夕凪は蒸し暑さをもたらす要因の一つともなります。

また、風の変動の中で、わずかな時間だけ風が完全に止むこともあり、こうした状態も凪と呼ばれることがあります。この現象は、英語で「lull（ラル）」とも表現されます。

凪は海だけでなく、風がもたらす自然の現象について理解を深める上でも重要です。自然環境の変化がもたらす風の性質や海洋の状況を観察することで、私たちはその影響を受けていることを実感することでしょう。

参考文献

• - 日下博幸、藤部文昭ほか 編『日本気候百科』丸善出版、2018年1月。ISBN 978-4-621-30243-9。

関連項目

• - 朝凪・夕凪
• - 海陸風 - 海風・陸風
• - なぎ - 平坦で安定した状態を表す言葉
• - ナギ - 名前が凪（なぎ）に通じるため、古くから船乗りの守りとして重要視されている

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