出口のない海

出口のない海

『出口のない海』は、横山秀夫の同名小説を基にした日本映画で、2006年9月16日に公開されました。監督を務めたのは佐々部清で、太平洋戦争の時代における若者たちの葛藤と戦いを描いています。画角はビスタビジョン、音響はドルビーデジタルという形式で制作され、戦闘場面をあまり描かず、代わりに主人公たちの感情的なドラマに焦点を当てています。

あらすじ

物語は、甲子園での優勝投手である並木浩二が、大学進学後に肘を痛め、自慢の速球を投げられなくなったところから始まります。彼は新たな「魔球」を完成させることを目指し、復活を夢見ていました。しかし、運命は彼に容赦なく、太平洋戦争が勃発。日本の敗北が現実味を帯びてくる中、彼の人生は一変します。1943年の10月、学生の徴兵が解かれ、並木は学徒出陣を決意します。彼は家族や恋人、友人たちと別れを告げ、海軍への道へ進むことになります。

並木と彼の仲間たちはそれぞれ、愛する人々を守るために戦う覚悟を固めます。海軍では、搭乗することになる回天という兵器が採用されており、特攻隊としての任務が彼らを待っていました。この回天は、敵艦に体当たりして自らの命を犠牲にするという究極の戦いを意味しています。若者たちはその運命に身を委ねながらも、心の中には迷いや不安、そして悲しみが渦巻いているのです。

海へと潜る潜水艦の中で、並木や仲間たちは出撃の瞬間を迎えることになります。彼らの心情は複雑であり、愛する人を守るための戦いは決して簡単な選択ではありません。物語は、若者たちの意志の強さや葛藤を描きながら進み、戦争がもたらす悲劇や絆の深さを丁寧に表現しています。

登場人物

• - 並木浩二（市川海老蔵）：海軍少尉であり、回天の搭乗員。明治大学の野球選手。
• - 北勝也（伊勢谷友介）：海軍中尉で回天搭乗員。明治大学の競走部に所属。
• - 鳴海美奈子（上野樹里）：並木の恋人。
• - 伊藤伸夫（塩谷瞬）：回天隊の整備員。
• - 佐久間安吉（柏原収史）：回天搭乗員。
• - 沖田寛之（伊崎充則）：回天搭乗員。
• - 小畑聡（黒田勇樹）：明治大学の野球部マネージャー。
• - 並木幸代（尾高杏奈）：並木の妹。
• - 並木光江（古手川祐子）：並木の母。

制作と音楽

映画は松竹によって制作され、音楽は加羽沢美濃が手掛け、主題歌には竹内まりやの「返信」が用いられています。

原作との違い

本作では、原作と異なる点がいくつか存在します。例えば、物語は並木の初出撃から始まり、彼の肘の故障についての経緯が詳しく描かれていません。また、仲間たちのキャラクターや重要な会話も原作とは異なる扱いになっています。

結論

『出口のない海』は、戦時中の若者たちが抱える感情や思いをドラマティックに描いた感動の作品です。彼らが戦いを通じて成長し、愛する人々との絆を深める様子は、観る者に深い感動を与えます。

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