出居塚古墳

出居塚古墳（鶴の山古墳）

長崎県対馬市美津島町雞知に位置する出居塚古墳は、別名「鶴の山古墳」とも呼ばれる前方後方墳です。長崎県の指定史跡として、その歴史的価値が認められています。

概要

出居塚古墳は、対馬島東海岸の雞知浦を見下ろす丘陵上に築かれました。長崎県内では唯一の前方後方墳であり、その規模は対馬最大を誇ります。これまでに、1951年と1991年度に発掘調査と測量調査が実施され、古墳の構造や出土品に関する情報が得られています。

墳丘長は40メートルで、築石によって構築されています。埋葬施設は竪穴式石室ですが、破壊が著しく、詳細は不明です。推定では、長さ4メートル、幅2メートル、深さ0.9メートル程度の規模であったと考えられています。1951年の発掘調査では、銅鏃12本、碧玉製管玉1個、鉄剣片2本分、土器片1点が出土しました。

築造時期は、古墳時代前期の4世紀後半頃と推定されています。対馬における畿内型古墳としては最古の時期に位置づけられ、付近には根曽古墳群（前方後円墳3基を含む）やサイノヤマ古墳といった同様の畿内型古墳も存在します。これらの古墳の存在は、当時の対馬が畿内ヤマト王権の勢力下にあったことを示唆するものと考えられています。

被葬者については、史書に見える対馬県直（つしまあがたのあたい）またはそれに連なる豪族の墓であるという説が有力です。弥生時代には対馬の中心地は対馬島西海岸にありましたが、古墳時代に入るとともに、出居塚古墳や根曽古墳群が築かれた雞知浦へと移動したと考えられています。

2002年には、古墳域が長崎県指定史跡に指定され、現在に至ります。

遺跡歴

1917年（大正6年）：『津島紀事』に「出居塚」として記述される。
1951年（昭和26年）：発掘調査が実施され、前方後円墳の「鶴の山古墳」として報告される（日本考古学協会）。
1991年度（平成3年度）：測量調査の結果、前方後方墳であることが判明し、「出居塚古墳」として報告される（長崎県教育委員会の古墳詳細分布調査）。
2002年（平成14年）2月26日：長崎県指定史跡に指定される。

墳丘

墳丘の規模は以下の通りです。

墳丘長：40メートル
後方部
長さ：19.5メートル
高さ：3.7メートル
前方部
長さ：21メートル
幅：4メートル
高さ：1.2メートル

文化財

長崎県指定文化財
史跡：出居塚古墳 - 2002年（平成14年）2月26日指定。

出居塚古墳は、対馬の古代史を解き明かす上で貴重な遺跡であり、その保存と研究が今後も期待されます。

参考文献

史跡説明板（長崎県教育委員会・旧美津島町教育委員会、2003年設置）
「出居塚古墳」『長崎県の地名』平凡社〈日本歴史地名大系43〉、2001年。ISBN 4582490433。
田川肇「出居塚古墳」『続 日本古墳大辞典』東京堂出版、2002年。ISBN 4490105991。

関連項目

根曽古墳群

外部リンク

出居塚古墳 - 長崎県ホームページ「長崎県の文化財」
出居塚古墳 - 長崎県教育庁学芸文化課「長崎県の遺跡大辞典」

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