出海村

出海村の概要

出海村（いずみむら）は、1954年まで愛媛県喜多郡に存在していた村で、近隣の町村と合併し新たに長浜町となりました。この長浜町はその後、平成の合併により大洲市となり、現在に至ります。大洲市の北西端に位置する出海村は、伊予灘に面した農漁村であり、美しい自然環境に恵まれています。以下では、出海村の地理、社会、歴史などについて詳しく見ていきます。

地理

位置と境界

出海村は大洲市の北西角、伊予灘の海岸に隣接していました。村の背後には山々が連なり、南側の耳取峠を越えると西宇和郡の日土村と接し、東側の鶴首峠を越えると同じく喜多郡の大和村豊茂と隣接しています。また、海岸線の東側は櫛生村、西側は鵜の碆を境に西宇和郡の磯津村と接しています。

地形

出海村付近は中央構造線に近く、複雑な断層崖海岸が形成されています。このため、平地はあまり多くはなく、小さな川である尾中川、土居川、野田川などが流れ、それらの影響で三ケ月状の砂浜が広がる地域もあります。このような自然環境は、村の特色を形成する要素となっていました。

社会

集落と行政

出海村には1つの主要な集落があり、行政や教育機関が中心部に密集していました。この村は明治時代に市制・町村制度が施行される際、一つの村としてそのまま村として存在していました。長浜町となった後も、同様に大字として存続していましたが、平成の合併によって大洲市に編入されました。

人口と世帯

出海村の人口は、過去にわたり変動がありました。1904年には243戸、1136人が報告され、1921年には259戸、1224人に増加しましたが、2020年には176世帯、385人となり、村の人口は減少傾向にありました。教育機関は村立の小中学校があり、小学校は2011年に長浜小学校に統合されて閉校しました。

歴史

古代から中世

戦国時代には、出海村は水上城主であった兵頭石見守直政が関与していました。豊臣秀吉の四国征伐に際し、彼が開城し、その後の庄屋に就任したと伝えられています。

藩政期

出海村はもともと大洲藩領であり、後に新谷藩の支配下となりました。明治8年には泉学校が設立され、1889年には正式に出海村として設けられました。

近代

1955年には旧長浜町やその他の村との合併により、新たな長浜町となりました。この合併により、出海村という自治体は歴史の中に消えていくこととなりました。

産業

出海村は主に農業と漁業が盛んでした。農業では米や麦、雑穀、柑橘類などが生産され、特に太平洋戦争後には柑橘類の栽培が始まりました。漁業でも鯛やイサキなどの魚介類が捕れ、地域の生活を支えていました。また、地元の出海酒造合資会社が存在し、和酒の醸造も盛んでした。

交通とアクセス

最寄り駅は国鉄予讃本線の伊予長浜駅で、村内の主要な交通手段としてバスがあり、長浜や磯津間を結び、地域住民の移動を助けていました。

出身者

出海村には多くの著名な出身者がいます。農業に従事した平田巻太郎や、村長として地域発展に貢献した兵藤正人など、様々な分野で活躍した人物がいます。

出海村の歴史と文化は、その地理的条件や人々の生活様式に大きく影響を受けてきました。現在は大洲市に編入されていますが、その名残は地域の記憶として受け継がれています。

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