収入役

収入役とは

収入役は、地方自治法に基づき市町村の会計事務を司る特別職の地方公務員でした。市町村の長から独立した立場で会計を監督する役割を担っていましたが、地方自治法の改正により2007年3月31日をもって廃止されました。

制度

設置

10万人以上の市では、必ず収入役を設置する必要がありました。一方、10万人未満の市町村では、条例により収入役を置かず、市町村長や助役がその事務を兼務することも可能でした。また、政令指定都市の区にも収入役が置かれていましたが、こちらは一般職の地方公務員でした。

収入役は、市町村長が議会の同意を得て選任し、任期は4年と定められていました。内部統制を目的とした職であるため、市町村長の意思で解任することはできず、首長の不正な会計指示を拒否することも可能でした。この点が、同じく三役である助役とは異なる特徴でした。

職務

収入役は、市町村の会計に関する以下の事務を担っていました。

現金（納付される証券や基金所属の現金を含む）の出納と保管
小切手の振り出し
有価[[証券]]（公有財産や基金に属するものを含む）の出納と保管
物品（基金に属する動産を含む）の出納と保管（ただし、使用中の物品の保管は除く）
現金と財産の記録管理
支出負担行為に関する確認
* 決算の作成と首長への提出

廃止

旧地方自治法では、会計事務の適正な執行を確保するために、収入役という独立した会計機関を設けていました。しかし、出納事務の電算化や監査制度、情報公開制度の充実が進み、収入役を設置しなくても会計事務の適正な執行が可能になったと考えられました。

また、収入役が本来の職務とは異なる業務を事実上行っていたり、市町村長や助役が収入役の事務を兼務しているケースも多く見られました。このような状況を受け、2005年12月に第28次地方制度調査会は中間答申で、都道府県の出納長とともに収入役の廃止を提言しました。

この提言を受け、2006年5月31日に改正地方自治法が可決・成立し、2007年3月31日をもって収入役制度は廃止されました。同年4月1日からは、会計管理者（一般職）が収入役と同じ職務権限を担うことになりましたが、市町村長等が兼務することはできなくなりました。

なお、2007年3月31日時点で在職していた収入役については、任期満了まで在職できる特例措置が設けられました。

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