出羽島

出羽島の魅力

出羽島（てばじま）は、徳島県海部郡牟岐町に位置する小さな島で、集落の周辺を除く全域が室戸阿南海岸国定公園として保護されています。島は牟岐川河口から南に約4kmの距離にあり、太平洋上に浮かんでいます。その面積は約0.65平方キロメートルであり、この島の地形は主に台地状です。その約77%に相当する50ヘクタールの面積が森林で覆われています。

出羽島漁港の周囲には、馬蹄形に集まる人家があります。この島には、遊歩道が整備されており、出羽島灯台からの景観が特に魅力的です。灯台からは、紀州方面の東、室戸の西、南には太平洋、そして北に四国山脈を一望することができます。島内には、国の天然記念物に指定されている「出羽島大池のシラタマモ自生地」や、観光名所として知られる「蛇の枕」なども存在します。さらに、かつて島には出羽小学校がありましたが、児童数の減少により廃校となっています。

重要伝統的建造物群保存地区

出羽島の北部には、伝統的な漁村の集落が広がっており、この区域は面積約3.7ヘクタールの「牟岐町出羽島伝統的建造物群保存地区」として国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。この選定の背景には、徳島藩の移住奨励政策の影響を受け、江戸後期から昭和前期にかけて鰹漁の栄えに伴って拡大した漁村集落の歴史があります。この地域には、形式や規模が整った漁家の主屋が立ち並んでおり、独特の集落景観が発展しています。

自然環境と植物

出羽島は、国の天然記念物に指定されているシラタマモを含む珍しい植物が自生しており、ハイビスカスなどの亜熱帯植物も見受けられます。特に2005年に発見されたカヤツリグサ科スゲ属の固有種は、「テバジマスゲ」と名付けられ、島の自然の豊かさを物語っています。

島内の施設

出羽島には多くの施設があり、訪れる人々に便利な環境を提供しています。主な施設としては、観栄寺や出羽島簡易郵便局、出羽島漁村センターがあり、また灯台や漁港も重要な役割を果たしています。特に、大池のシラタマモ自生地は国の天然記念物に指定されており、多くの観光客を惹きつけています。

交通手段

出羽島への定期航路としては、牟岐・出羽島航路が開設されており、出羽島漁港と本土の牟岐漁港を結ぶ連絡船「大生丸」（2018年建造、定員70名）が運航しています。この船は1日6往復し、所要時間はおおよそ15分です。

食文化

出羽島の食文化には、地元の名物「島そうめん」があります。これは出羽島特有の郷土料理で、出羽島で獲れたレンコダイの煮付けを作る際の煮汁をめんつゆとして使用するのが特徴です。

出羽島はその豊かな自然と伝統的な文化が融合した場所であり、訪れる価値のある魅力的な小島です。

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