イヴァン4世

イヴァン4世について

イヴァン4世（Иван IV Васильевич）は、1530年8月25日に生まれ、1584年3月18日に亡くなった、モスクワ大公及び初代ツァーリとして知られる重要な歴史的人物です。在位中に彼は絶対主義を推進し、国内外でのさまざまな改革を試みましたが、彼の統治は暴力と恐怖政治の時代として記憶されています。

生い立ち

イヴァンは父ヴァシーリー3世と母エレナ・グリンスカヤの間に生まれました。彼の出自は宗教的な背景を持ち、母方は歴史的な勝者と敗者の血筋を引いていました。1533年12月、父の死によりわずか3歳で大公に即位しますが、当初は母が摂政として政治を運営しました。エレナの死後、貴族間の権力争いが激化し、若いイヴァンは長い間無視されることとなります。彼が自らの権力を行使するようになるまでには多くの困難が伴いました。

統治の始まり

1547年、イヴァンは「全ルーシのツァーリ」として姿を現し、自らの権力を強化します。この戴冠式は、彼の即位を神聖視し、ツァーリと教会の関係を強化する重要なイベントでもありました。統治初期においてイヴァンは、行政、軍事、法制度の改革に着手し、中央集権を志向する努力をしました。彼の顧問であるアレクセイ・アダシェフやシリヴェーストル司祭の助けを借りて、多くの改革を進めました。

領土の拡大と戦争

イヴァンの治世下では、カザン・ハン国やアストラハン・ハン国の征服が成し遂げられ、彼はモスクワの影響力を広げていきました。また、東方への進出に成功し、ロシア初の常備軍であるストレリツィを新設するなど、軍事的な強化にも努めました。しかし、リヴォニア戦争は彼の治世末期に深刻な失敗をもたらし、国を疲弊させる結果となりました。

恐怖政治の開始

1565年、イヴァン4世はオプリーチニナ制度を導入し、反逆者に対する自由な処罰権を手にしました。これにより、彼は恐怖政治を開始し、彼に敵対する貴族や知識人を次々と粛清し、特に名門貴族に対して容赦のない弾圧を実施しました。ノヴゴロド大虐殺のような凄惨な事件も発生し、彼の性格に関する負の評価も強まることとなりました。

家庭と晩年

イヴァン4世の私生活は、彼の性格を色濃く反映していました。彼は生涯に7人の妻を持ち、結婚生活においては多くの波乱がありました。特に最愛の妻アナスタシアの死は、彼に深い心の傷を残しました。1581年、最年少の息子イヴァンを誤って殺害してしまったことも彼の精神に大きな打撃を與え、以降の晩年は深刻な退廃期に突入します。

1584年に彼は発作を起こして亡くなりましたが、彼の治世はロシア史において特異な存在感を放ち、議論を呼ぶ人物として語り継がれています。暴君と呼ばれる一方で、彼の業績はロシアの国家基盤を築く重要なものでした。彼の死後、ロマノフ朝の成立へとつながっていくのです。

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