切り賃

切り賃（きりちん）とは

切り賃とは、近代まで囲碁で用いられていたルールの一つです。現代の囲碁では採用されていません。

ルールの概要

切り賃の基本的なルールは、「生きるために必要な目を地に数えない」というものです。現代の囲碁では、二つの目で囲まれた空間は二目の地として数えられますが、切り賃ルールでは、この二目の地は0目として扱われます。同様に、20目の地は18目の地として計算されるなど、地を数える際に、生きるために必要な目が差し引かれます。つまり、実際に得られる地よりも少なく計算されることになります。

このルールの名前の由来は、相手の石を切る（取る）ごとに二目の地が加算されることにあります。石を切る行為によって得られるこの追加の地が「切り賃」と呼ばれていました。

歴史的背景

切り賃は、囲碁の歴史の中で、ルールが変化していく過程で登場したと考えられています。中国のある時代では、切り賃が1目であった時期もあったとされています。これは、時代や地域によってルールの解釈が異なっていたことを示唆しています。

大西研也の考察

囲碁研究者の大西研也氏は、切り賃の導入について独自の考察を述べています。大西氏は、初期の囲碁では、純碁のように自分の地を埋めていく作業が中心であったと推測しています。しかし、この方式は手間がかかるため、より効率的な方法として切り賃が導入されたと考えられます。さらに、囲碁の技術が進歩するにつれて、地に対する意識が高まり、結果として切り賃ルールは使われなくなったと大西氏は分析しています。初期の囲碁では、地を正確に理解するためにはある程度の棋力が必要であり、切り賃は、その過程で生まれた簡略化されたルールだったのかもしれません。

切り賃の影響

切り賃ルールの存在は、囲碁の戦略や戦術にも影響を与えていたと考えられます。例えば、現代の囲碁では地の確保が重要ですが、切り賃ルール下では、より積極的に相手の石を切り、その「賃金」を得る戦術が有効であった可能性があります。また、生きるために必要な目を地として数えないため、石の効率的な配置や、相手の地を減らす戦略も重要になったと考えられます。

現代の囲碁との違い

現代の囲碁は、切り賃ルールを採用していません。現在では、生きている石によって囲まれた空間はすべて地として数えられます。この違いは、囲碁のルールが時代とともに変化し、より洗練されたものへと進化してきたことを示しています。

まとめ

切り賃は、囲碁の歴史における興味深いルールの一つであり、囲碁のルールの変遷を理解する上で重要な要素です。このルールは、初期の囲碁における地の概念や、その後のルール改正の背景を考える上で、重要な手がかりを与えてくれます。

関連用語

囲碁
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純碁
* ポン抜き[[囲碁]]

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