純碁

純碁とは

純碁は、囲碁の入門用として王銘琬氏が提唱したゲームです。囲碁のルールをベースに、より簡単に、初心者でも楽しめるように工夫されています。このゲームの目的は、囲碁のゲーム性を維持しながら、ルールを簡明化することにあります。特に、これから囲碁を学ぼうとする人にとって、純碁は理解しやすい入門ツールとなるでしょう。通常、9路盤やそれよりも小さい盤を使用しますが、ルール自体は盤の大きさに制限はありません。

純碁の普及活動を行う大西研也氏は、純碁が地の概念の理解や切り賃ルールなど、囲碁の原型に近いルールを持つと推測しています。これは、現代の囲碁のルールが、日本ルールよりも中国ルールに近いことに通じます。

純碁のルール

純碁の基本的なルールは通常の囲碁に準じていますが、いくつかの重要な違いがあります。

石の数を競う

通常の囲碁では、地（陣地）の大きさと取った石の数を比較して勝敗を決定しますが、純碁では最終的に盤上に残っている石の数のみを比較します。盤上の空きスペースや、取った石の数は勝敗に関係しません。

地の概念がない

盤上の空きスペースは、勝敗に直接影響しません。したがって、通常の囲碁のように地を囲んでも、それだけでは点数にはなりません。点数を得るには、自分の地を石で埋める必要があります。

死活の判定がない

相手の死んだ石は、終局前に明示的に取り除く必要があります。終局時に盤上に残っている石は、すべて点数として数えられます。

両者連続パスで終局

両者が連続でパスをすると、ゲームが終了します。通常の囲碁のように終局時に合意をする必要はなく、終局後の処理もありません。パスは何度でも行うことができます。

その他のルール

同形反復の禁止や自殺手の禁止は、通常の囲碁と同じです。

純碁の特徴

純碁には、以下のような長所と短所があります。

長所

ルールが明快

純碁はルールが非常に明確であり、初心者同士でよく起こる終局時のトラブルを避けることができます。通常の囲碁では、死活の判定が難しい場合がありますが、純碁では盤上の石の数を数えるだけで勝敗が決まります。そのため、死活やセキなどの複雑な概念を理解する必要がありません。

結果が通常の囲碁とほぼ一致

純碁の勝敗は、多くの場合、通常の囲碁に切り賃ルールを加えた場合の結果とほぼ同じになります。そのため、純碁から通常の囲碁への移行がスムーズに行えます。これは、純碁が囲碁への導入として非常に効果的であることを意味します。ポン抜き[[囲碁]]のような他の入門ゲームと比較して、囲碁とのゲーム性の差が少ない点が優れています。

短所

終局前に自陣を埋める必要がある

純碁では、地はそのままでは点数にならないため、終局前に自分の陣地を石で埋める必要があります。この作業は、純碁のコツを理解したプレイヤーにとってはやや退屈に感じられることがあります。また、盤が大きくなるとこの作業が大変になり、小さい盤では数える方が早い場合もあります。大西研也氏は、この作業が面倒であることから切り賃ルールが生まれたと推測しています。

通常の囲碁と結果が異なる場合がある

純碁と通常の囲碁では、特に死んでいる石が取り除かれない場合に結果が大きく異なる場合があります。例えば、実際には取りに行けない石が、形の上では死んでいるとみなされる場合などです。

根拠が不明瞭

純碁は囲碁の入門用として考案されましたが、本当に初心者に理解しやすいかどうかには疑問があります。小さな盤であれば、数を数えるだけで済むため、わざわざ地を埋める必要がない場合があります。また、地や死活の問題を理解していないと、自分の地を埋めることができません。そのため、純碁を始める前に囲碁の基本的な概念を理解している必要があり、矛盾が生じます。この点が、純碁が本当に「囲碁を覚えようとする人にとって理解しやすい」のかという疑問を生じさせています。

純碁は中国ルールをベースにしており、王銘琬氏は「碁を打てないとは言わせない」と述べていますが、入門指導で純碁を導入した場合とそうでない場合で、囲碁の理解度にどれほどの差が出るかという明確な根拠は示されていません。

囲碁普及への移行

純碁は、囲碁入門の新しい指導法として注目されていますが、純碁自体が独立したゲームとして確立しつつあり、純碁から囲碁への移行が進まないという課題があります。純碁をどのように囲碁の普及につなげていくかが今後の課題です。

指導者不足

純碁は中国ルールに基づいていますが、日本では囲碁＝日本ルールという認識が一般的です。そのため、純碁を指導できる指導者が不足しています。指導者が中国ルールや純碁について十分に理解していないと、指導が難しくなります。

合理性

純碁は囲碁のルールを原始的に捉えたものであり、ルールに例外が少なく、単純で明確です。そのため、入門者の理解を容易にするだけでなく、ゲームルールの研究やコンピュータ囲碁の研究においても有用です。

純碁の他に、同形反復の処理を合理化した超コウというルールもあります。超コウは、過去に出現したすべての盤面の再現を禁止することで、常にゲームが進行し、必ず終局することを保証します。超コウと純碁を組み合わせることで、理想的なゲームルールとなり、例えば2路盤でもゲームとして意味のある考察が可能になります。

純碁