刑事ジョン・ブック 目撃者

刑事ジョン・ブック 目撃者

『刑事ジョン・ブック 目撃者』（原題: Witness）は、1985年に公開されたアメリカ映画です。パラマウント映画が製作し、ピーター・ウィアーが監督を務めました。ウィリアム・ケリーとアール・W・ウォレスが原案・脚本を担当し、ハリソン・フォードとケリー・マクギリスが主演を務めています。

概要

この映画は、タイトル通り、殺人事件の「目撃者」となったアーミッシュの少年と、その母親を保護しようとする刑事の奮闘を描いたサスペンス作品です。しかし、単なるサスペンスにとどまらず、キリスト教の少数派として、非暴力的な生活を送るアーミッシュの人々と、都会の刑事との文化的な交流、そして恋愛模様を織り交ぜたヒューマンドラマとしての側面も強く打ち出されています。

第28回ブルーリボン賞では外国作品賞を受賞し、第58回アカデミー賞では作品賞、監督賞（ピーター・ウィアー）、主演男優賞（ハリソン・フォード）、脚本賞、編集賞の5部門にノミネートされ、脚本賞と編集賞の2部門で受賞を果たしました。

ストーリー

未亡人レイチェルと息子サミュエルは、ペンシルベニア州ランカスター郡のアーミッシュの村からボルチモアへ向かう途中、乗り換えの駅のトイレでサミュエルが殺人事件を目撃します。事件を担当する刑事ジョン・ブックは、母子を警察署に連れて行き面通しを試みますが、犯人は見つかりません。しかし、サミュエルが署内に貼られた新聞記事から、犯人の一人が麻薬課のマクフィー刑事であることを突き止めます。

ジョンは上司のシェイファー本部長に相談しますが、その日のうちにマクフィーの襲撃を受け、負傷してしまいます。本部長も事件に関与していると悟ったジョンは、母子を危険から守るため、アーミッシュの村へ送り返し、自身も怪我を癒すために彼らの家に身を寄せることにします。

ジョンはアーミッシュの生活に溶け込みながら、相棒の刑事に連絡を取り、サミュエルの調書を隠蔽するよう依頼します。しかし、相棒が殺害されたことを知り、本部長の関与を確信したジョンは、怒りのあまり、観光客に暴力を振るってしまいます。この事件がきっかけで、ジョンの潜伏場所を特定した本部長は、犯人たちを引き連れて村に乗り込み、ジョンと母子を抹殺しようとしますが、村人たちの協力により阻止されます。

事件解決後、ジョンはレイチェルとの間にある感情を自覚しつつも、住む世界の違いを理解し、言葉を交わすことなく村を去ります。

登場人物

ジョン・ブック: 刑事。
サミュエル・ラップ: アーミッシュの村の少年。6歳。
レイチェル・ラップ: サミュエルの母親。未亡人。
カーター: ジョンの同僚。
ダニエル・ホッフライトナー: レイチェルに恋心を抱く男性。
イーライ・ラップ: レイチェルの養父。
ポール・シェイファー: 警察本部長。
ジェームス・マクフィー: 麻薬課の刑事。殺人犯。

キャスト

テレビ朝日版では、スペシャル・コレクターズエディションDVD収録時にカットされた箇所を、当時のキャストで追加収録しています。子役や故人、引退したキャストについては、代役が追加吹替を担当しています。

※日本語吹替は、上記の他、1985年に公開されたJAL機内上映版も存在します。

補足

映画冒頭で、レイチェルの義父が「イングリッシュに気をつけろ」と警告しますが、これはアーミッシュが非アーミッシュのアメリカ人を指す言葉です。ジョン・ブックも最初は「イングリッシュ！」と呼ばれ、信用されていませんでした。しかし、最後にジョンが村を去る際には、義父から「イングリッシュに気をつけろ」と声をかけられ、アーミッシュの一員として認められたことを示唆しています。テレビ朝日版の吹き替えでは、両方とも「イギリス人」と訳されています。
カーラジオから流れるサム・クックの「ワンダフルワールド」に合わせて、ジョンとレイチェルがダンスを踊るシーンは印象的です。この曲は『アニマル・ハウス』や『ブレスレス』にも使用されています。

脚注

注釈

出典

参考文献

『刑事ジョン・ブック　目撃者』（角川文庫）［原作］
『キネマ旬報』第910号［シナリオ］

外部リンク

Teaching Witness
刑事ジョン・ブック 目撃者 - allcinema
刑事ジョン・ブック 目撃者 - KINENOTE
Witness - オールムービー（英語）
* Witness - IMDb（英語）

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