初春 (初春型駆逐艦)

初春駆逐艦の概要

初春（はつはる）は、日本海軍の初春型駆逐艦の1隻目として1929年に進水し、主に太平洋戦争で活動しました。従来の駆逐艦とは異なり、魚雷の次発装填装置を初めて搭載した艦艇でしたが、1944年にマニラ湾での空襲により沈没しました。

背景と艦歴

初春型駆逐艦は、1921年に締結されたワシントン軍縮条約によって、大型艦の建造が制限される中で、日本海軍が軽量かつ重武装の艦艇の建造を目指した結果、誕生しました。設計は藤本喜久雄造船大佐が担当し、特に復原性能をあげるための改修が施された艦艇でした。艦名は「初春」の名に由来し、艦は1933年に正式に海軍に引き渡されました。

1931年5月に起工し、1932年に艦名が決定。その後、艦は1933年に進水し、同年に竣工を果たしました。しかし、復原性能が問題視され、改装工事を経て克服に向かいました。初春型は合計で4隻建造されましたが、初春は日本の水雷戦隊の戦力として活躍しました。

太平洋戦争における役割

1941年12月の太平洋戦争開戦時、初春は内海にて待機していましたが、すぐに激戦地へと投入されました。最初の重大な任務は真珠湾攻撃後の護衛任務であり、以降は様々な輸送作戦や攻略作戦に参加しました。特に、初春はアッツ島攻略戦での重要な役割を果たし、他の艦艇と共に戦闘任務に従事しました。

1942年にはスラウェシ島ケンダリの攻略作戦にも参加しましたが、作戦中に敵艦艇との衝突事故が発生するなど、幾度となく事故に見舞われました。その後、北方部隊に編入され、いくつかの戦闘任務をこなしました。

沈没

1944年10月、第21駆逐隊がマニラに向かう途中、米軍の空襲を受けました。この攻撃により他の艦艇が沈没または損傷を受け、初春も重傷を負いました。同月、マニラ湾で再度の空襲により、初春は火災を起こし、最終的に沈没に至りました。沈没位置は北緯14度35分、東経120度50分とされ、その後日本海軍は多くの艦艇を失う結果となり、フィリピンにおける海上戦力はほぼ消失しました。初春は1945年1月10日に駆逐艦籍から除籍され、生涯を終えました。

歴代艦長

初春の艦長は数度交代しており、その任務を果たす中で数々の艦長たちが艦を指揮しました。艦長の中には、田原吉興少佐や大熊安之助少佐などがいました。彼らは艦の運命を左右する重要な役割を担い、戦時中に艦の性能向上や戦闘指揮を行いました。初春の艦長としての歴史は、その艦の名にとどまらず、数多の戦局を超える歴史的なものでした。

今に残る初春の歴史は、日本海軍駆逐艦の中でも特に印象深いものであり、艦の設計思想や戦局での役割は、多くの戦史に記録されています。

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