初雪

初雪：日本の冬の訪れを告げる現象

初雪は、その地域において一年のうちで最初に雪が降る日、もしくは新年になって初めて雪が降る日を指します。冬の到来を告げる自然現象として、人々の生活や文化に深く関わってきました。

気象庁による初雪の定義

気象庁をはじめとする各地の気象台では、初雪の定義を厳格に定めています。具体的には、その冬初めて、雪またはみぞれ（雨まじりの雪、もしくは融けかけた雪）による降水があった日を初雪としています。ただし、高山地帯では夏季に雪が降る場合もあるため、高山における初雪の定義は異なります。高山では、その年の日平均気温が最も高くなった日以降に初めて降った雪を初雪と定義していましたが、多くの観測地点で観測が廃止された現在では、統計上の考慮は不要となっています。

初雪の観測は、全国各地の有人気象観測所で行われています。観測地点数は、かつては各地の測候所なども含めて多数ありましたが、1997年から2010年にかけて測候所の廃止が相次いだため、現在は大幅に減少しています。現在、観測を継続している地点の多くは、自動観測システムによって初雪の観測が行われています。

初雪の観測時期

初雪の観測時期は、年によって大きな変動があります。平年値を参考にすると、北海道や東北地方の山間部では9月下旬から10月中旬、平野部では10月中旬から11月上旬にかけて初雪が観測されます。本州の日本海側では11月中旬から12月上旬、太平洋側では12月中旬から1月上旬にかけて初雪が観測されることが多いです。東京などの関東南部から九州南部にかけての太平洋沿岸地域では、初雪の観測が遅れ、年明け以降になることも珍しくありません。これらの地域では、南岸低気圧による降雪が初雪となることが多く、年によっては初雪が観測されない年もあります。また、小笠原諸島や南西諸島など、冬でも温暖な地域では基本的に雪は観測されません。

富士山は、かつて初雪の観測が最も早かったことで知られていました。富士山測候所（2004年廃止）の観測記録によると、1971年から2000年の平年値は9月14日でした。これは、富士山では7月や8月にも雪が降ることがあるため、「その年の日平均気温が最も高い日以降に初めて降った雪」という特別な定義が適用されていたからです。

初雪の時期は、一般的にその年の最低気温が初めて0℃を下回る「冬日初日」と近くなりますが、必ずしも一致しません。これは、地上の気温が0℃以上であっても、湿度や雪片の大きさなどの条件によって、雪が完全に溶けずに降る場合があるためです。

過去の初雪の記録

各地の気象観測所では、長年にわたって初雪の記録が蓄積されています。これらの記録から、過去には非常に早い初雪や、逆に非常に遅い初雪が観測されたことがわかります。例えば、北海道旭川では1898年10月2日に最も早い初雪が、釧路では1928年12月9日に最も遅い初雪が観測されています。東京では、1876年と1900年に11月17日に最も早い初雪、2007年に3月16日に最も遅い初雪が観測されています。

このように、各地で観測された初雪の記録は、その地域の気候変動や、長期的な気象状況を知る上で貴重なデータとなっています。

まとめ

初雪は、単なる気象現象にとどまらず、人々の生活や文化に深く根付いた、季節の移り変わりを象徴するイベントです。各地の初雪の記録は、気候変動の現状を理解し、将来予測を行う上でも重要な情報源となります。

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