気象台

気象台：日本の気象観測と予報の中枢

気象台は、日本の気象庁に属する機関であり、国土交通省設置法でその存在が規定されています。天気予報で馴染みのある地上気象観測に加え、地震、火山、海洋に関する観測業務も担っています。さらに、過去の気象状況に関する公的な証明書である気象証明書の発行も行っています。

気象庁では、全国各地の気象台、測候所、そして海洋気象観測船や南極昭和基地において、地上だけでなく上空（高層域）の気象観測も実施しています。高層気象観測には、ラジオゾンデによる測定器の上昇気流利用と、ウィンドプロファイラによる電波反射を利用した観測方法が用いられています。

気象台の語源と歴史

日本の近代気象観測が始まった明治初期、気象観測施設は「気候測量場」や「測候所」と呼ばれていました。しかし、1880年頃には「東京測候所」が「地理局気象台」と改称され、「気象台」という名称が用いられるようになりました。これは、増加する測候所の中で東京の拠点が中枢であることを明確にするための名称変更だったと考えられます。当時、内務省地理局以外にも海軍省水路寮の観象台が天文・気象観測を行っていたことも、この名称に影響を与えた可能性があります。1887年には東京気象台が中央気象台に改称され、これが現在の気象庁へと発展していきます。気象庁の公式記録では、東京における気象観測開始は1875年6月1日とされていますが、これは当時の観測記録の翻訳と考えられています。

気象台の種類と役割

気象台は、その役割や管轄地域によって様々な種類に分類されます。主な種類は以下のとおりです。

高層気象台

高層気象の観測や研究、観測機器の点検・校正などを行います。

管区気象台

気象庁の業務のうち、特定の事務を分掌する地方支分部局です。札幌、仙台、東京、大阪、福岡の5か所に設置されています。

沖縄気象台

管区気象台とほぼ同等の役割を担っています。

地方気象台

管区気象台等の所掌事務の一部を分掌します。全国各地に約50か所設置されています。

測候所

地方気象台を補佐する役割を担い、波浪予報や気象警報の発表なども行います。現在では有人観測を行う測候所はごくわずかです。

航空気象に関する組織

空港に設置され、航空機の運航に必要な気象情報を提供します。航空地方気象台と航空測候所があります。

気象台の組織再編と観測技術の進化

近年、観測技術の高度化や経費節減の必要性から、気象台の組織再編が進められています。

測候所の縮小

かつては100か所以上存在した測候所ですが、無人化が進み、現在では有人観測を行う測候所はごくわずかです。

空港出張所等の廃止

空港に設置されていた出張所や分室は、観測の機械化や民間委託により、航空気象観測所に統合されました。

海洋気象台の廃止

2013年に海洋気象台は廃止されました。

観測の自動化

地上気象観測装置、気象衛星、レーダーデータなどを組み合わせることで、観測の自動化が進んでいます。

気象官署以外の有人観測所

気象官署ではないものの、有人観測所として、父島気象観測所、南鳥島気象観測所、館野高層気象台などが存在します。これらの観測所は予報・警報業務は行わず、高層気象観測などを実施しています。

気象台は、天気予報から防災にいたるまで、私たちの生活に密着した重要な役割を担っています。これからも、観測技術の進歩と共に、より精度の高い気象情報提供が期待されます。

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