別業

別業（なりどころ/べつぎょう）

概要

別業は、古代日本の貴族たちが所有していた別荘を指します。これらの別荘は、田荘（たどころ）とも呼ばれ、一部の文献では同じように「なりどころ」と表記されることがあります。この名称からも分かるように、別業は単なる居住地に留まらず、貴族たちの政治的・経済的基盤としての役割を果たしていました。

『日本書紀』には、当時の有力者たちが所有する別業や田荘の存在が記載されています。別業には、田畑や山林が付属しており、これらの土地は支配者の経済的な収入源となっていました。実際に、政変や有力者の失脚時には、別業に隠遁したり、そこから挙兵する事例も見られます。たとえば、丁未の乱では物部守屋が、また橘奈良麻呂の乱の後には藤原豊成が別業に身を寄せて再起を図っています。

別業の役割の変化

藤原京の成立以降、貴族は都に住むことが一般的となりました。このため、別業は政治の中心から少し外れた場所で、余暇を楽しむための施設へと変化しました。貴族たちはこの別業を狩猟や花見、およびその他の社交活動の拠点として利用するようになりました。春には桜を楽しみながらの宴会、秋には狩猟の際に集まりなど、自然と触れ合う場としての側面が強まりました。

別業の文化的意義

さらに、別業は文化的な交流の場でもありました。ここでは、詩歌を詠む、絵を描くなど、芸術活動が行われることもありました。貴族間の親交を深めるための社交的な空間としての役割も果たし、別業内での行事や祭りなどが貴族社会の重要な文化的要素として位置づけられました。

参考文献

別業に関する詳しい情報は、以下の文献で探求できます。

• - 笠原永遠男「別業」（『日本史大事典 5』（平凡社、1993年） ISBN 978-4-582-13105-5）
• - 門脇禎二「別業」（『日本歴史大事典 3』（小学館、2001年） ISBN 978-4-09-523003-0）

関連項目

• - 白河別業

このように、別業は古代貴族の生活や文化を理解する上で重要な要素となっており、それ自体が歴史的な価値を持つ存在でした。

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