丁未の乱

丁未の乱とは

丁未の乱（ていびのらん）は、飛鳥時代に起きた内乱で、仏教の礼拝に関する対立を背景にした重要な歴史的事件です。この乱は、蘇我馬子と大連の物部守屋との間で繰り広げられました。物部守屋の家族は滅ぼされ、その後の物部氏は衰退を余儀なくされました。

乱の発端と経過

587年の7月、蘇我馬子は支配権を確立するために物部守屋に対して討伐軍を派遣する決断を下します。彼は厩戸皇子や泊瀬部皇子、竹田皇子などの皇族や他の豪族と共に、河内国渋川郡にある物部守屋の居城へと進軍しました。

戦闘は、餌香川の河原で繰り広げられ、両軍合わせて数百人が戦死しました。守屋は自身の一族を集めて堅固な防衛戦を展開し、彼の軍勢は物部氏の精鋭たちによって支えられていました。守屋自身も果敢に戦い、敵軍に矢を射かける姿が印象的でした。しかし、数々の奮闘にもかかわらず、追討軍は、馬子の指揮の下で立て直しを繰り返し進攻していきます。

物部守屋の敗北

物部軍の結束が揺らぎ、ついには迹見赤檮が守屋を射落とすという決定的な瞬間が訪れます。一族を失った物部軍は総崩れとなり、追討軍は守屋の家族をことごとく殺戮しました。生き残った者たちは逃げ散り、行方不明となる者も多くいました。この戦いにより、蘇我氏は物部氏の勢力を中央から完全に排除し、力を強固にしていきました。

さらに、仏教に関する対立においても物部氏の影響力が減少し、仏教の浸透が進むことになりました。厩戸皇子は摂津国に四天王寺を建立し、これが後の仏教広がりの契機ともなります。物部氏の領地は二分され、蘇我馬子に一部が譲渡された上、四天王寺にも寄進されました。

丁未の乱の影響

丁未の乱は物部氏の中興の祖の系譜に大きな影響を与えました。この乱の後、物部守屋の子孫の多くは四天王寺の奴婢となったという説が定説とされていますが、一部の歴史家はこの見解に異を唱えています。いくつかの文献では、物部の子孫が奴婢として記録に残ったのは、実際に彼らが困窮した証拠とされています。

今後の歴史において、この乱は仏教と武力との関連において重要な教訓を投げかけることになるでしょう。物部氏の衰退は、支配権の移行を象徴するのみならず、新たな宗教的勢力の台頭をも示していたのです。

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