制式一号飛行機

制式一号飛行機の詳細

制式一号飛行機（せいしきいちごうひこうき）は、大日本帝国陸軍によって試作された軍用機であり、実際には制式採用には至っていません。その名称には「制式機として計画された」という意味が込められています。この機体は、特にその設計と性能に対する期待と現実のギャップが注目されることが多いです。

概要

1915年5月、臨時軍用気球研究会は新たな航空機の設計に取り組みました。これまでの推進式機体とは異なり、当時の最新技術を駆使した牽引式のエンジン配置が採用されました。このプロジェクトを指揮したのは、岩本周平技師や桜井義秀大尉、松井命大尉、沢田秀中尉、長沢賢二郎中尉の5名です。

試作機の製造は1915年11月に所沢工場で開始され、1916年4月30日に完成しました。その後、5月6日に所沢陸軍飛行場で初飛行を行いましたが、離陸直後に燃料タンクの圧力低下によりエンジンが停止し不時着、機体は大破してしまいました。この際、操縦していた沢田中尉は軽傷を負ったものの、大事には至らなかったようです。

その後、燃料タンクとエンジンの修理が行われ、1916年12月から再度の試験飛行が開始されました。しかし、当初の期待に反して新型機に比べ性能が劣っており、また安定性にも問題があったため、実験機としての利用に留まりました。さらに1917年7月24日には地上でモ式四型偵察機に衝突され、大破し解体されています。

機体構造と設計

制式一号飛行機は、木製の骨組みに合板と羽布を張った複葉機です。その設計にはドイツのLVG D.9の資料が参考にされており、胴体の両側面にラジエーターが設けられているのが特徴です。また、主翼は鉄道輸送を考慮して折りたたみ可能な構造となっていました。

大破後の改修では、上翼内部に補助燃料タンクが追加され、翼間支柱の増設、固定脚のスキッド除去などが実施されました。これらの改修により、飛行性能や運用能力の向上が図られましたが、それでも性能は限界がありました。

諸元

以下は制式一号飛行機の主要諸元です。

• - 全長: 9.35 m
• - 全幅: 15.10 m
• - 全高: 3.00 m
• - 主翼面積: 40.5 m²
• - 全備重量: 1,100 kg
• - エンジン: メルセデス・ダイムラー 水冷直列6気筒ガソリン（出力最大110 hp） × 1
• - 最大速度: 108 km/h
• - 航続時間: 7時間
• - 武装: 旋回式軽機関銃 × 1、及び若干数の爆弾
• - 乗員: 2名

このように、制式一号飛行機はその試作段階から多くの課題を抱え、最終的には実戦での使用には至りませんでしたが、当時の航空技術を集約した重要な機体であることは間違いありません。

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