制服 (ナチス突撃隊)

ナチ党の突撃隊（SA）の制服の変遷について

本稿では、国家社会主義ドイツ労働者党（ナチ党）の準軍事組織である突撃隊（SA）の制服について詳述します。突撃隊の制服は1921年から1945年まで使われ、ナチ党のシンボルとして根付いていきました。これらの制服は軍服の要素を多く取り入れ、主に褐色を基調としたデザインが特徴でした。

初期の制服

突撃隊の代名詞とも言える褐色のシャツ型の制服は、1920年代初頭に登場しました。ナチ党の指導者アドルフ・ヒトラーはイタリアのファシスト党に触発され、党の警護部隊を作り上げました。当時の制服はバラバラであり、ハーケンクロイツの腕章があったものの、特に統一されたデザインはありませんでした。

1921年にヒトラーは警護部隊を「スポーツ隊」として再編し、SAを発足させました。この時、初の階級制度が導入され、突撃隊高級指導者、上級指導者、指導者、隊員といった等級が設けられました。1923年のミュンヘン一揆の後、SAは一時解散されましたが、党員は他組織に匿われるなどして生き延びました。

褐色シャツ型制服の定着

ヒトラーが刑務所から出た後、ナチ党は再結成され、突撃隊も再建されました。この時点で突撃隊は初めて正式な統一の規定を受け、褐色のシャツと乗馬ズボンに加え、ケピ帽や腕章などを用いるようになりました。ショルダーベルトや腰ベルトも使用され、バックルのデザインにも違いがありました。

1926年に隊員の数が増加すると、新たに階級や連隊規模が導入され、制服のデザインにもさらなる統一感が求められました。

勤務服の導入

ナチ党が権力を掌握すると、突撃隊のエルンスト・レーム幕僚長は制服の改訂を行い、勤務服（Dienstrock）が新たに導入されました。この勤務服はスーツ型で、褐色を基調にしつつもシャツ型とは異なるデザインでした。ポケットの形状や装飾も変更され、より正式な印象を与えるようになりました。

さらに、海軍の影響を受けた独自の勤務服も使用され、有名なSA水上部隊がこの形でデザインされました。戦争が勃発する頃には、ウール製の勤務服が導入され、物資不足の影響を受けつつも制服の維持が試みられました。

帽子とその他の衣服

初期の突撃隊では山岳部隊用の略帽が使用されていましたが、後にケピ帽が主流となりました。この帽子には所属管区や階級に応じた装飾が施され、制服と同様の配色が採用されました。また、突撃隊には外套やスポーツ着も存在しており、これらも褐色が基調でした。

階級制度と徽章

1933年にヒトラーが首相に就任すると、突撃隊の階級制度に重要な変化があり、レームはその役職名を実際の階級に変更しました。連隊指導者の襟章や肩章も導入され、上級指導者には特有の装飾が施されました。更に、襟章により部隊の区別が容易になり、さらなる階級の細分化も進められました。

このように、突撃隊の制服は時代とともに進化し続け、そのデザインや階級制度はナチ党のアイデンティティを強固にする要素として機能していました。突撃隊の制服は、単なる衣服以上の意味を持ち、ナチ党のシンボルとしての役割を果たしました。

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