前田利和 (七日市藩主)

前田 利和の生涯

前田利和（まえだ としよし）は江戸時代後期の大名であり、上野国七日市藩の10代藩主です。彼の官位は従五位下、大和守となっています。利和は寛政3年（1791年）1月16日、旗本である前田武宣の三男として生まれました。前田武宣は第6代藩主・前田利理の六男であり、第7代藩主・利尚の弟でもあります。

利和は当時の藩主である第9代藩主の前田利以の養子となり、文化5年（1808年）11月8日、利以が隠居することに伴い家督を継承します。しかし、隠居後も利以は藩政に大きな影響を持ち続け、江戸に別宅を設けるなど贅沢な生活を送ったため、藩財政は逼迫していきました。これは、利以の腹心である鶴心斎宗啓の陰謀であり、藩の混乱を引き起こしていました。

家計の窮状と本家である加賀藩の激怒の影響を受け、文化9年（1812年）4月には藩主利和と鶴心斎との摩擦を解消するため、須藤岡之進が自身の遺書に諌言を書き、二人は切腹することとなりました。この事件をきっかけに、藩主と鶴心斎の関係は修復され、さらには本家との関係も持ち直すことができました。

しかし、藩財政の厳しさは依然として続き、人口減少や税収減など新たな問題も発生しました。この背景から、文化13年（1816年）8月には「生育講」を創設します。これは、藩内から集められた6万3000両の基金をもとに貧民救済や妊婦、幼い子供を持つ家庭への手当金支給を行う制度です。

さらに、利和は倹約令を発布し、出産に関する民生条目14か条を制定しました。しかし、隠居した利以が文政11年（1828年）に亡くなるまで、贅沢な生活は続き、藩財政の再建は果たせませんでした。特に文政4年（1821年）には深刻な大旱魃に見舞われます。

利和は文化6年（1809年）に駿府城の警護を、文政3年（1820年）には大坂城の警護を務めました。また、天保7年（1836年）には藩祖の命日を記念し、利孝二百年忌を行い、御宝塔の建立を実施しました。

最終的に、天保10年（1839年）11月12日に49歳で亡くなり、息子の養子である前田利豁がその後を継ぐことになります。利和の生涯は、江戸時代における藩主の役割や藩の発展、さらにはその家族に関わる歴史の一部として、後世に語り継がれています。

系譜

利和の系譜は以下の通りです。

• - 父母

- 実父: 前田武宣
- 実母: 貞光院
- 養父: 前田利以

• - 正室、継室

- 正室: 恵照院（岩城隆恕の娘）
- 継室: 建（南部信鄰の娘）

• - 子女

- 男子（夭折）
- 男子（夭折）
- 男子（夭折）
- 松之助（夭折）
- 豊
- 保
- 前田恒八郎
- 雅
- 鉦
- 前田錦之助
- 男子（夭折）
- 加納久成（彦十郎、利兼、八男）
- 睦（南部信民の正室、母は南部建）
- 前田利器

• - 養子

- 前田利豁（前田利幹の八男）

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