前田利與

前田 利與（まえだ としとも）

前田利與は越中富山藩の第6代藩主であり、その家系は長い歴史を持っています。彼は1737年に富山で生まれ、父は第4代藩主の前田利隆、母は久衛（山田氏）です。彼の人生は波乱に満ちており、特に藩主としての役割には多くの困難が待ち受けていました。

利與は1741年に前田内膳の養子となり、藩政の道を歩み始めます。1762年、兄の利幸が死去すると、その実子である利久が幼いことから、利與は実質的に家督を継ぐこととなりました。以降の彼の治世は、財政問題に直面し、その解決のために多くの努力をしました。

彼の治世において、特に注目すべきは1763年に日光東照宮の修理作業に11万両の負担を負ったことです。これが原因で藩は財政的に厳しい状況に陥りました。また、安永2年（1773年）には飛騨騒動で出兵し、その後も河川の整備などのため多額の費用がかかり、財政破綻の危機に直面します。藩の財政を建て直すべく、家臣の知行借上げや経費削減、人別銭や上米の徴収など様々な手段を講じるも、思うようには事が運びませんでした。

明和9年（1772年）には藩内で打ちこわしが発生し、建て直しへの試みは失敗に終わります。それに対し、安永2年には藩校・広徳館を設立するなど、教育の充実にも取り組みました。また、明和6年には常願寺川の佐々堤周辺に水防林を整備し、地域の災害対策への関心を高める姿勢も見受けられます。

1777年、利與は養子の利久に家督を譲り、隠居生活に入ります。彼は1794年に58歳で亡くなります。その生涯は多くの改革と挑戦に満ちていたが、最終的には藩の財政的な苦境に苦しむこととなりました。また、利與の家族には、正室である富貴（前田利直の娘）と側室の住（山田氏）との間に多くの子供がありました。

利與の系譜としては、長男の前田利謙や長女の前田恒子がいます。また、前田利晃や前田亀吉（側室・保野の子）、さらに養子である前田利久も彼の家族の一員となります。これらの子供たちは、彼の後を継ぎ、また新たな道を切り開くことになります。

彼の生涯を通じて、多くの困難と試練があったものの、それでも教育や地域の発展に寄与した数々の業績は、後の世にも影響を与えています。前田利與はその名のもとに、富山藩の歴史に一つの節目を残しました。

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