前田則邦

前田則邦（まえだ のりくに）は、弘化4年5月22日（1847年7月4日）に生まれ、大正4年8月23日（1915年）に没した、富山県出身の政治家、実業家、そして画家として多彩な才能を発揮した人物です。

生い立ちと初期の活動

前田則邦は、富山藩9代藩主である前田利幹の次男、前田利民の子として生まれました。幼名は竹太郎（武太郎）と名付けられ、民邦、春江といった別名も持っていました。嘉永7年（1854年）には、500石の知行と若土姓を与えられ、藩士として臣籍に入ります。

明治維新後の活躍

明治維新後、前田則邦は前田姓に復し、富山師範学校の校長に就任。その後、婦負郡、上新川郡、中新川郡の郡長を歴任するなど、地方行政において重要な役割を果たしました。

実業家としての手腕も発揮し、明治11年（1878年）には、旧藩士らと共に第百二十三国立銀行の設立に参画。この銀行は後に合併し、十二銀行（現在の北陸銀行の前身）となり、前田則邦は頭取として経営を担いました。

明治13年（1880年）には、政府からの士族授産金を得て、大沢野村（現在の富山市）の原野開墾事業に着手しました。この事業は、明治16年（1883年）に富山県に譲渡されましたが、彼の開拓精神を示すものとして特筆されます。

富山市長として

明治22年（1889年）には、富山市長に就任し、都市の発展に尽力しました。明治26年（1895年）に市長を辞任するまでの間、富山市の近代化に貢献しました。

画家としての才能

前田則邦は、政治家、実業家としての活動の傍ら、画家としても才能を発揮し、山水画などの作品を残しています。彼の描く山水画は、自然の美しさを繊細に表現しており、芸術家としての側面も持ち合わせていたことを示しています。

前田則邦は、激動の時代において、政治、経済、文化の各方面で富山県の発展に大きく貢献した人物として、その功績は今も語り継がれています。

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