前進社

前進社：中核派の出版拠点とその歴史

前進社は、東京都江戸川区松江に本社を置く出版社です。任意団体という法人格を持たない組織であり、新左翼党派である革命的共産主義者同盟全国委員会（中核派）の公式出版部門として機能しています。

拠点と公安機関との関わり

前進社の本社は、江戸川区松江の都営バス京葉交差点バス停付近に位置し、全国各地に支社・支局を展開しています。中核派の中核拠点であるため、年に数回、警視庁公安部による捜索を受けます。高い塀に囲まれ、鉄板で入口を封鎖しているため、捜索時には警察が鉄板を切断して建物内に入る場面も見られます。公安調査庁の報告によると、東京本社には約80人の活動家が居住していると言われています。また、周辺の駐車場には、活動家への監視を目的として、公安警察のキャンピングカーが常駐しています。

移転の歴史と「千早城」

前進社は、かつて豊島区東池袋に所在していました。1974年には豊島区千早に移転し、鉄筋コンクリート5階建ての建物は、その威容から「千早城」と呼ばれていました。しかし、活動資金調達のため、千早の土地を売却。1994年には地価の安い江戸川区松江に移転しました。東池袋にあったことから、敵対する革マル派からは「ブクロ派」という蔑称で呼ばれています。

出版活動とコミケ参加

前進社は、中核派の機関紙誌をはじめとした様々な出版物を発行しています。定期刊行物としては、週刊新聞『前進』（1959年創刊）、月刊誌『国際労働運動』、季刊誌『共産主義者』（通称「イスト」）などを発行しています。書籍では、中核派議長である清水丈夫氏や、中核派創設者である本多延嘉氏の著作集なども出版しています。興味深いことに、「みどるこあ」（Middle Coreの意）という同人サークル名でコミックマーケットにも出展した経験があります。

支社・支局の所在地

前進社は、東京本社以外にも全国各地に支社・支局を展開しています。これらの拠点も、中核派の活動に重要な役割を果たしています。支社・支局の所在地は、以下の通りです。

神奈川支社：神奈川県横浜市中区
東北支社：宮城県仙台市青葉区
関西支社：大阪府大阪市天王寺区（2007年の関西地方委員会分裂後、東三国の旧関西支社は再建協議会の事務所となった）
中国支社：広島県広島市南区
九州支社：福岡県福岡市博多区
沖縄支局：沖縄県那覇市

前進社を取り巻く状況

前進社は、その存在自体が、日本の政治状況や社会運動を反映しています。公安機関との緊張関係、敵対する勢力との対立、そして、出版活動を通じて社会に発信し続ける姿勢は、これからも注目を集め続けるでしょう。フジテレビのノンフィクション番組『学生運動現在形 - ヘルメットの現代っ子たち』（1993年放送）では、千早にあった頃の前進社が取材されています。また、前進社の公式YouTubeチャンネル「前進チャンネル」では、江戸川区の建物内部や、公安警察の監視の様子などが公開されています。これらの情報から、前進社の活動や、その周囲の状況をより深く理解することができます。

関連団体

革マル派の出版社である解放社とは、長年にわたる敵対関係にあります。

まとめ

前進社は、中核派の出版部門として、長年にわたり活動を続けてきました。その歴史、出版物、拠点、そして公安機関との関係など、様々な側面から、日本の社会運動の一端を垣間見ることができる重要な存在です。今後も、その動向に注目していく必要があります。

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