剣埼型潜水母艦

剣埼型潜水母艦

剣埼型潜水母艦は、日本海軍が設計・建造した潜水母艦で、同型艦は2隻存在します。この艦は、初めは潜水母艦として計画されましたが、その後、空母としての改造が行われました。特に、一隻は建造中に航空母艦に改修され、その後も活躍が期待されていました。

建造の経緯

この艦型が計画された背景には、ワシントン海軍軍縮条約やロンドン海軍軍縮会議による艦船保有制限がありました。日本海軍は、これらの条約で空母の保有が制限されていたため、有事には速やかに航空母艦に転換できる10,000トン以下の艦艇を要求しました。それに応じて、1933年度の予算により初の潜水母艦「大鯨」が建造され、次いで1934年度に剣埼型の艦の建造が始まりました。

当時、日本海軍は潜水母艦の不足に悩まされており、従来の艦艇の老朽化が進行していました。特に、迅鯨型艦は補給能力に弱点を持っており、より大きな潜水艦に対応できる艦が求められていました。

計画の変更

剣埼型は、もともと高速給油艦として設計されていましたが、計画段階での友鶴事件を受けて、設計が変更されました。これにより艦の全長が短縮され、吃水が深くなるなどの改良が施されました。最初の艦「剣埼」の起工は1934年12月で、1935年6月に進水しましたが、工事日程は第4艦隊事件の影響もあり延びました。結果的に、竣工は1939年1月に達成されました。

艤装の経過

艤装の過程で、当初は「大鯨」とほぼ同一の設計でしたが、潜水母艦としての機能に特化するために、給油設備を除去し格納庫を追加するなどの変更が行われました。艦橋構造物と格納庫が分離され、艦後部には短艇置き場のためのスペースが設けられました。

竣工時の装備

艦は竣工時にエレベーターや水上偵察機の搭載が可能でしたが、発艦の際にはクレーンを利用し、機銃の装備はありませんでした。これは早期の空母改造を前提としていたためと考えられます。

軍艦としての運用

「剣埼」は1940年2月に第2艦隊に編入されましたが、ディーゼル主機のトラブルが相次ぎました。公式試運転では計画どおりの速力を達成しましたが、艦隊運用時は20ノットが限界でした。それでも、潜水母艦としての評価は高く、居住性が良好なため、竣工後は「剣埼ホテル」とも呼ばれるようになりました。

空母への改造

日本の国際情勢が緊迫する中で、就役2年の間に計画的に空母への改造が進められました。しかし、その過程では工事の中断があり、艦は一時横須賀で放置されている状態となりました。その後、改造が進められ、最終的には2隻とも航空母艦に変貌を遂げました。

同型艦の運命

剣埼型には、剣埼とその姉妹艦である高崎が存在し、いずれも航空母艦に改造された後、戦闘で失われました。剣埼は1942年の珊瑚海海戦において戦没し、高崎は1944年にレイテ沖で撃沈されました。

まとめ

剣埼型潜水母艦は、創造的な艦設計の一環として日本海軍において重要な役割を果たし、潜水艦能力を強化するために多くの変更を受けました。その運命は、戦争の激化とともに大きく変わりましたが、艦艇の歴史の中で特異な存在として記録されています。これらの艦から学び取った教訓は、現在においても軍事戦略な段階で重要な要素として考えられています。

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