副島亀里ララボウラティアナラ

副島 亀里ララボウラティアナラ

自己紹介
副島 亀里ララボウラティアナラ（そえじま かめりララボウラティアナラ、SOEJIMA Kameli Raravou Latianara）は、1983年6月1日生まれのフィジー出身のラグビーユニオン選手です。ポジションはセンター（CTB）。身長190cm、体重94kgというアスリートとして恵まれた体格を持ち、ニックネームは「ギャム」として親しまれています。現在は日本のトップチャレンジリーグに所属するコカ・コーラレッドスパークスで活躍しており、また7人制ラグビー日本代表としても長年にわたり重要な役割を果たしています。

ラグビー一家に育ち、日本へ
彼のラグビー人生は、文字通りラグビーと共に始まりました。フィジーでラグビーの深い伝統を持つ一家に生まれ、父親はかつてフィジー代表としてワールドカップに出場した経歴を持ち、いとこも1997年の7人制ワールドカップで優勝メンバーに名を連ねるなど、周囲には常に最高レベルのラグビーがありました。このような環境の中、彼は5歳という幼い頃から自然とラグビーの世界へ足を踏み入れました。フィジーのランバササンガムカレッジを卒業後、21歳で国内屈指の強豪クラブ「レッドロック」に入団し、24歳までそのスキルを磨きました。

彼の人生の大きな転機となったのは、2007年にフィジーで青年海外協力隊の理学療法士として活動していた日本人女性と出会い、結婚したことです。この結婚を機に、副島選手は2009年に日本への移住を決意します。

仕事とラグビーの両立
日本に渡った副島選手は、当初、日本の最高峰リーグであるトップリーグへの加入を目指しました。しかし、当時の外国人枠の厳しさという現実の壁に阻まれ、プロチームに所属する道を見つけることができませんでした。失意の中でも、妻の献身的なサポートを受け、彼は福岡県を拠点とするクラブチーム「玄海タンガロアラグビー」に加入し、競技を続けることを選びます。

佐賀市に家族と居を構えた副島選手は、ここでラグビー選手としては異例とも言える二重生活を送ることになります。日中は舗装工事会社の現場作業員として働き、仕事が終わってからラグビーの練習に参加するという日々でした。クラブの練習は週に2回だけでしたが、彼はそれに満足せず、仕事後の個人トレーニングや、地元の強豪校である佐賀工業高校の練習に参加させてもらうなど、ありとあらゆる機会を捉えて自身のラグビーを高める努力を怠りませんでした。限られた時間の中で、彼はまさにラグビーへの情熱だけで競技を続けていたのです。

日本国籍取得と国体での輝き
副島選手のキャリアに新たな光が差し込んだのは、2013年に日本国籍を取得してからです。これにより、彼は国内大会や日本代表としてプレーする資格を得ました。そして、その才能が開花したのは、まさに国体という舞台でした。2013年のスポーツ祭東京2013、そして2014年の長崎がんばらんば国体に佐賀県代表チームの主要メンバーとして出場。特に2014年の大会では、チームを牽引し、佐賀県勢にとって史上初の優勝という快挙に大きく貢献しました。この活躍が認められ、副島選手は大会の最優秀選手にも選ばれ、一躍国内ラグビー界で注目を集める存在となりました。

7人制日本代表としての活躍
国体での目覚ましいパフォーマンスは、当時の7人制ラグビー男子日本代表監督であった瀬川智広氏（後に東芝ブレイブルーパス監督を務める）の目に留まります。そして、副島選手は2014年12月、ワールドラグビーセブンズシリーズのドバイセブンズに臨む日本代表メンバーにサプライズ選出され、国際舞台でのキャリアをスタートさせます。

2016年には、同年開催されるリオデジャネイロオリンピックへの出場を目指し、競技に専念するため長年勤務した舗装会社を休職するという大きな決断をしました。この時、佐賀県ラグビー協会などを通じた募金活動によって、彼の競技生活を支える経済的な支援が行われました。そして、その努力は実を結び、副島選手はリオ五輪の7人制日本代表メンバーに選出されます。この時の日本代表チームにおいて、彼は実業団やプロチームではなく、唯一アマチュアのクラブチーム所属の選手であり、その異色の経歴が大きな話題となりました。

プロフェッショナルキャリアへ、そして東京五輪へ
リオ五輪後、副島選手はキャリアをさらに発展させます。2016年8月22日、彼はトップチャレンジリーグに所属するコカ・コーラレッドスパークスへの加入を発表。これは、リオ五輪で7人制日本代表キャプテンを務めた桑水流裕策選手も所属するチームでした。この移籍により、副島選手はそれまで勤めていた舗装会社を退職し、コカ・コーラウエストの社員として働きながらラグビーに打ち込める環境を手に入れ、よりプロフェッショナルな選手としての道を歩み始めました。

その後も、彼は日本代表の主力選手として活躍を続け、2018年にはラグビーワールドカップセブンズ2018に出場。そして、2021年に開催された東京オリンピックでも、再び7人制日本代表の内定選手に選ばれ、自国開催の舞台でプレーする機会を得ました。フィジーで培った才能、日本での苦労と努力、そして国体でのブレイクを足がかりに、オリンピック選手へと上り詰めた副島亀里ララボウラティアナラ選手。仕事と競技を両立させ、クラブチームから世界レベルの舞台へと駆け上がった彼の軌跡は、多くの人々に勇気と感動を与えています。

もう一度検索