低
カルシウム血症(hypocalcemia)は、血漿中の
カルシウムイオン濃度が生体に必要なレベルよりも低下した状態を指します。この状態はさまざまな要因によって引き起こされ、身体に多くの影響を及ぼします。
原因
低
カルシウム血症の原因として挙げられるのは、
副甲状腺機能低下症、偽性
副甲状腺機能低下症、
ビタミンD欠乏症やその依存症、さらには腎疾患や重
金属中毒などが含まれます。これらの疾患があると、
カルシウムイオンの再吸収が減少したり、消化管からの吸収が減ったりすることがあります。特に、血清
カルシウムが
キレート化される現象も、低
カルシウム血症を引き起こす要因となります。
症状
血漿中の
カルシウムイオン濃度が低下すると、神経や筋肉の興奮性が増加します。これにより、様々な身体的症状が現れます。具体的には、反射の亢進、強直性痙攣、テタニーなどが見られます。また、特定の身体反応も認められます。例えば、トルソー徴候は上腕を圧迫することで現れる反応であり、クヴォステク徴候は顔面神経を叩打することで上唇の筋緊張が引き起こされます。さらに、ルスト徴候は腓骨神経を叩打することで足の背屈を引き起こす現象です。
低
カルシウム血症が持続すると、体内で
副甲状腺の主細胞が過形成され、続発性
副甲状腺機能亢進症に繋がる可能性があります。これにより、さらなる健康問題が引き起こされることがあります。
治療
低
カルシウム血症の治療は、主にその原因となる疾患の治療と並行して行われます。
ビタミンDや
カルシウム製剤の投与が行われることが一般的です。これにより、身体の
カルシウムレベルを正常に保つことを目指します。
関連項目
この症状は、高
カルシウム血症や
エチレングリコール中毒、
腎不全、低アルブミン血症、
甲状腺癌、急性膵炎、低マグネシウム血症、乳熱に関連することもあります。また、
カルシウムを補充するためのグルコン酸
カルシウムや、ホルモンとしてのパラソルモン、
カルシトニンなども関連してきます。
参考文献
1. 日本獣医病理学会編集『動物病理学総論 第2版』文永堂出版 2001年 ISBN 4830031832
2. 日本獣医内科学アカデミー編『獣医内科学(小動物編)』文永堂出版 2005年 ISBN 4830032006
低
カルシウム血症についての理解は、治療や予防において非常に重要です。適切な対処を施すことで、健康を維持することが可能です。