副腎皮質

副腎皮質について

副腎皮質（ふくじんひしつ）は、私たちの体内でストレス反応を調整し、ホルモンを合成する重要な器官です。副腎の外側に位置し、その内部には副腎髄質があります。副腎皮質は主に、鉱質コルチコイドであるアルドステロン、糖質コルチコイドであるコルチゾール、そしてアンドロゲンの合成を行います。特に、ホルモンの合成はストレスに対する体の反応に深くかかわっています。

副腎皮質の構造

副腎皮質は、以下の3つの主要な層から成り立っています。
1. 球状層（球状帯）
2. 束状層（束状帯）
3. 網状層（網状帯）

外側から内側に向かってこの順に重なり合っており、ヒトでは副腎そのものの約75％を副腎皮質が占めています。特に、その中でも束状層が主役であり、副腎皮質全体の約80％を占有しています。次いで、球状層が15％、網状層が7％ほどを占めています。このように、層の違いがホルモンの合成に果たす役割は大きいです。

ホルモン合成のメカニズム

すべての副腎皮質ホルモンの合成はコレステロールから始まります。まず、コレステロールがミトコンドリア内膜に運ばれ、特定の酵素によってプレグネノロンに変換されます。次に、プレグネノロンはさらなる変換を受けて、最終的にホルモンへと変化します。この合成過程は、以下のような精緻なステップで進行します。

1. プレグネノロンがプロゲステロンに変化
2. プロゲステロンがデオキシコルチコステロン、最終的にアルドステロンに変換
3. プロゲステロンが17-ヒドロキシプロゲステロンを経由し、コルチゾールに変化

これらの反応の中で、ホルモンの合成は各層に特有の酵素によって促進されます。

各ホルモンの機能

鉱質コルチコイド

副腎皮質の球状層では、アルドステロンが合成されます。このホルモンは体内のナトリウム・カリウム濃度を調整し、水分バランスにも寄与します。分泌の調整には、アンギオテンシンIIなどのホルモンが密接に関与しており、その作用も非常に多岐にわたります。

糖質コルチコイド

束状層からはコルチゾールが分泌されます。ストレス反応や代謝に重要な役割を果たし、アミノ酸放出や脂肪分解などの作用があります。ACTH（副腎皮質刺激ホルモン）によって調節され、心筋収縮を促進するなど、心臓にも影響を与えます。

アンドロゲン

網状層はアンドロゲンの合成を行います。テストステロンやデヒドロエピアンドロステロン（DHEA）などがあり、筋肉の成長や二次性徴に寄与します。特に、テストステロンは多様な生理作用を持つホルモンで、健康維持に欠かせない存在です。

病理学的関連

副腎皮質の機能異常はさまざまな病状に影響します。たとえば、慢性原発性副腎皮質機能低下症やクッシング症候群、原発性アルドステロン症などがあり、いずれもホルモンバランスに深く関わる疾患です。これらの病理を理解することは、適切な治療やアプローチを選択するために重要です。

副腎皮質は、ホルモンの合成やそれに伴う体の調整機能を担っており、その理解は内分泌系の研究や臨床において欠かせません。

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