副見喬雄

副見喬雄：内務官僚から鳥取県知事へ

副見喬雄は、1895年（明治28年）に岐阜県で生まれ、1978年（昭和53年）に生涯を閉じた内務・警察官僚です。第三高等学校を経て、1920年（大正9年）に東京帝国大学法学部を卒業。同年10月には高等試験行政科試験に合格し、内務省に入省しました。その後のキャリアは、警察官僚として着実にキャリアを重ねていきます。

警察官僚としてのキャリア

副見は、内務省入省後、静岡県属を皮切りに、鹿児島県警察部保安課長、警視庁保安課長、内務事務官、埼玉県書記官・警察部長、兵庫県経済部長、長崎県総務部長など、地方行政と警察行政の両分野で重要な役職を歴任しました。これらの経験を通じて、彼は地方行政の実務と警察行政の両面に精通していきました。

鳥取県知事時代

1939年（昭和14年）1月、副見は鳥取県知事に就任しました。当時、日本は戦時体制へと移行していく中で、副見は県知事として、その強化に尽力しました。具体的にどのような政策を実行したのかは詳細には残されていませんが、戦時下の地方行政を担う重要な役割を担ったことが伺えます。

台湾総督府での要職

1940年（昭和15年）12月、副見は台湾総督府交通局総長に転任しました。太平洋戦争開戦前夜の時期に、台湾の交通行政を統括する要職を務めたことは、彼の行政官としての能力を物語るでしょう。1945年（昭和20年）1月まで在任し、その後、退官しました。退官後は、住宅営団理事として、戦後の住宅問題にも関与しました。

戦後の動向

終戦後、副見は公職追放となりました。これは、戦時中の職務が問題視された結果でしょう。しかし、その後、中野高等無線電信学校校長として教育の分野で活躍し、社会に貢献しました。

副見喬雄の研究と資料

副見の著作として、『帝都に於ける売淫の研究』（博文館、1928年）があります。これは、当時の社会問題であった売淫に関する調査研究であり、彼の問題意識と社会に対する関心の高さを示すものです。また、没後の1989年（平成元年）6月には、副見に関する資料が国立国会図書館に寄贈され、彼の業績を後世に伝える上で重要な資料となっています。

まとめ

副見喬雄は、内務官僚として地方行政と警察行政の両分野で活躍し、戦時中は鳥取県知事、台湾総督府交通局総長といった要職を歴任しました。戦後は公職追放を経験するも、教育者として社会に貢献しました。彼の生涯は、明治から昭和にかけての日本の変遷を映し出すものであり、内務官僚の役割、戦時下の行政、戦後の社会復帰など、多角的な視点から歴史を考察する上で重要な手がかりを提供します。

参考資料

歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
* 国立国会図書館憲政資料室 副見喬雄関係文書

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