創元SF短編賞

創元SF短編賞について

創元SF短編賞（そうげんエスエフたんぺんしょう）は、2009年に東京創元社によって設立された公募新人文学賞です。この賞は「広義のSF」に焦点を当て、プロ・アマを問わず商業媒体で未発表の短編作品を対象としています。日本のSF文壇に新たな才能を提供することを目的としており、毎年多くの応募作品が寄せられています。

賞の内容と発表の仕組み

この賞の受賞作は、創元SF文庫の《年刊日本SF傑作選》シリーズに掲載されます。初回から第10回（2010年から2019年）まではこの傑作選に、そして第11回から第13回（2020年から2022年）までは新たに刊行された日本SFアンソロジー《Genesis》に載るという形が取られていました。2023年以降は文芸雑誌『紙魚の手帖』に作品が掲載され、加えて、正賞には賞状と記念品として受賞者名が刻まれたスケルトン仕様の懐中時計が贈呈されています。また、受賞作品は単体で電子書籍としても販売されるなど、受賞の名誉は多様なかたちで広がっています。

設立の背景

創元SF短編賞は、東京創元社が展開する《年刊日本SF傑作選》の一環として立ち上げられました。立案者の大森望氏によると、短編SFを対象とした公募新人賞は約17年ぶりのことであり、SFの新しい才能を発掘する意義が高いとされています。

この賞からは、数々の著名な作家が輩出されています。例えば、宮内悠介氏は短編集『盤上の夜』（2012年）で第33回日本SF大賞を受賞し、また『カブールの園』（2017年）で三島由紀夫賞を手にしました。同様に、酉島伝法氏も短編集『皆勤の徒』（2013年）で日本SF大賞を受賞するなど、多くの実績を誇っています。

選考委員について

選考委員は回ごとに異なり、初期の第1回から第10回までの委員には大森望、日下三蔵、そしてゲスト選考委員が参加しました。第11回以降は新たな顔ぶれが加わっており、堀晃氏や宮内悠介氏をはじめとする著名な作家が選考にかかわっています。これにより、毎回新鮮な視点をもたらし、優れた作品を選出しています。

受賞作と特別賞

受賞作が収録された書籍としては、アンソロジー《原色の想像力》シリーズがあります。これは第1回・第2回の最終候補作に選ばれた作品を集めたもので、創元SF文庫から出版されています。また、毎回の選考では特別賞も設けられ、選に漏れた作品の中から各選考委員の名を冠した賞が授与されています。

第3回・第4回の選考会は、SFコンベンション〈はるこん〉内で公開されるスタイルを取り、より多くのSFファンと共有されるという新しい試みも行われました。このように創元SF短編賞は、SFというジャンルの中で新たな才能を発掘し、育む重要な賞としての役割を果たしています。今後も多くの新しい作品が登場し、SF文学への道を開くことが期待されています。

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