劇画狼

劇画狼（げきがおおかみ）とは

劇画狼は、日本の漫画編集者、フリーライター、エロ劇画評論家として活動する人物です。かつてはキックボクサー、工員という異色の経歴も持ち合わせています。大阪市在住で、師匠は元『ガロ』副編集長の白取千夏雄です。自ら特殊出版レーベル「おおかみ書房」を立ち上げ、編集長として「漫画始末人」を自称しています。

生い立ちと格闘技への道

1979年8月10日、京都府舞鶴市に生まれた劇画狼は、幼少期から父親に野球を強要されるも興味を持つことができませんでした。高校1年生で野球をやめた後は、格闘技への関心から筋力トレーニングに励む日々を送りました。大学入学後、漫画『蹴撃手マモル』に影響を受けキックボクシングジムに通い始め、アマチュア選手として活動を始めます。20歳でプロテストに合格しプロデビューを果たし、一時はマーシャルアーツ日本キックボクシング連盟の日本ランキング（バンタム級）にも名を連ねました。しかし、反則負けやヘルニアの発症がきっかけとなり、プロ選手としてのキャリアに終止符を打ちます。

引退後と漫画評論の世界へ

引退後は大阪の工場で事務員として勤務する傍ら、珍しい漫画を紹介するWebサイト「なめくじ長屋奇考録」を立ち上げました。2009年末からは、「このマンガがひどい!」という企画をサイト内でスタートさせ、エキセントリックなエロ劇画やコンビニコミックを紹介し始めます。この企画は、過激な内容でありながらも、一部の漫画ファンから熱烈な支持を集めました。

「おおかみ書房」の設立と活動

2012年、劇画狼は元『ガロ』副編集長である白取千夏雄の協力を得て、特殊出版レーベル「おおかみ書房」を設立しました。ここでは、三条友美や中川ホメオパシーといったマニアックな作家の単行本未収録作品を積極的に刊行しています。2016年からは、リイド社と提携し、自身の「独断と偏見」による特殊漫画、エロ劇画、怪奇漫画のWeb復刻企画「劇画狼のエクストリームマンガ学園」をスタートさせました。この企画では、単行本化されずに埋もれてしまったマイナー漫画の発掘・復刻に力を注いでいます。

編集者としての手腕

劇画狼は、同人誌制作の経験はありませんでしたが、白取千夏雄からのアドバイスと、工場勤務で培った生産計画の知識を生かし、「おおかみ書房」から刊行した初の単行本を、わずか1ヶ月半で完売させました。その編集手腕は、業界内でも注目を集めています。

主な刊行物

「おおかみ書房」から刊行された主な書籍は以下の通りです。

三条友美『寄生少女』
三条友美『アリスの家』
掟ポルシェ『出し逃げ 掟ポルシェ最低コラム集』
中川ホメオパシー『もっと!抱かれたい道場』
谷口トモオ『完全版 サイコ工場A線』
白取千夏雄『全身編集者』

イベント活動

劇画狼は、漫画に関するイベントも積極的に開催しています。過去には、「このマンガがひどい! 劇盛」や「このマンガがひどい! 内臓大爆発」といったイベントを実施し、自身の漫画に対する熱い想いをファンと共有しています。その他にも、トークショーやサイン会などを通して、多くのファンと交流しています。

メディア出演

劇画狼は、ラジオ番組にも出演しており、自身の漫画に対する考えや、独特な視点を語っています。過去には、「金原みわの珍人類白書」や「アフター6ジャンクション」に出演しています。

劇画狼の活動の特徴

劇画狼の活動の特徴は、以下の点に集約されます。

エロ劇画やマイナー漫画に対する深い愛情
独自の視点に基づいた漫画の発掘・復刻活動
埋もれた漫画作品への情熱
過激な企画やイベントを通したファンとの交流

劇画狼は、既存の価値観にとらわれず、独自の視点で漫画の世界を切り開く、まさに「漫画始末人」と呼ぶにふさわしい存在と言えるでしょう。

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