劉中敷

劉中敷（りゅう ちゅうふ、生年不詳 - 1453年）は、明代の官僚であり、その生涯は幾多の困難と栄光に彩られています。元々は中孚という名前でしたが、後に中敷と改名しました。彼の出身は北平府大興県です。

建文帝の時代、燕王朱棣が反乱を起こした際、中孚は諸生として城を守るという功績を挙げ、陳留県丞に任じられました。永楽帝の時代に入ると、その能力を買われて工部員外郎に抜擢されます。皇太子朱高熾が監国を務めるようになると、中孚は工部の事務を代行するよう命じられ、この時、皇帝から「中敷」という名を与えられました。その後、彼は江西右参議として地方に赴任しました。

1428年（宣徳3年）、中敷は山東右参政に転じ、さらに左布政使へと昇進しました。山東では飢饉が発生しており、彼は巡撫に上申し、賦税を三分の二に減額させることで民を救いました。1436年（正統元年）、父の死去に伴い辞職し喪に服しますが、その能力を惜しまれて再び出仕を命じられ、戸部尚書に任じられました。

しかし、英宗が幼くして即位したため、朝廷内は混乱し、宦官の王振が権勢を振るうようになります。大臣たちは些細なことで処罰されることが多く、1438年（正統3年）には、中敷も戸部左侍郎の呉璽らとともに給事中や御史によって弾劾され、投獄されるも、すぐに釈放されて職に復帰しました。

1441年（正統6年）、再び中敷は独断専行を理由に給事中や御史から弾劾されます。献金によって罪を贖うことが許されましたが、同年10月には、中敷、呉璽、そして戸部右侍郎の陳瑺が、供給された牛馬を民間に分与して飼育させることを請願したことが、成法を乱す行為として弾劾され、中敷は再び投獄され、斬刑を宣告されました。長安門外で首枷をつけられ16日後、釈放されました。オイラトが入朝し朝貢した際、中敷は献上された馬やラクダの数について皇帝に問われ、答えることができませんでした。その結果、再び呉璽、陳瑺とともに斬刑が宣告され、投獄されます。しかし、中敷は母の病を理由に特別に帰省を許され、1442年（正統7年）に母の葬儀を終えた後、罪を受けるために出頭しました。その後、釈放されたものの、戸部尚書の官を罷免され、一般の民となりました。

1449年（正統14年）、景泰帝が即位すると、中敷はその才能を認められて戸部左侍郎として再び登用され、1452年（景泰3年）には太子賓客を兼ねるようになりました。1453年（景泰4年）4月、中敷は亡くなり、その功績を称えられ、尚書の位を追贈されました。50年に及ぶ官僚生活を送ったにもかかわらず、彼の家には余剰の資産はなかったと言われています。これは彼が清廉な人物であったことを示しています。

中敷の子、劉璉は1445年（正統10年）の進士であり、太僕寺卿にまで昇進しましたが、その後、遼東苑馬寺卿に左遷されました。

劉中敷の生涯は、官僚としての才能と、その時代における政治の混乱を反映しており、明代史を語る上で重要な人物の一人と言えるでしょう。

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