劉孜

劉孜（りゅう し、1411年 - 1468年）は、明代に活躍した官僚であり、字（あざな）は顕孜（けんし）。その本貫は吉安府万安県にあります。

生涯

1445年（正統10年）、劉孜は科挙に合格し、進士となりました。1447年（正統12年）には、山東道監察御史に任命され、遼東巡按の職務を兼任しました。1449年（正統14年）の冬には、劉孜は亦失哈（エシハ）と施帯児（シタイジ）という人物を弾劾しました。これは、彼の正義感と職務への忠実さを示す出来事でした。

1450年（景泰元年）、北京の朝廷では、オイラトの再侵攻を恐れ、都を南方に移す遷都の議論が持ち上がりました。しかし、劉孜はこれに強く反対し、遷都を主張する者を斬るべきであると上奏しました。これは、彼の強い信念と、国家の安定を第一に考える姿勢を示すものでした。御史としての任期を終えた後も、朝廷からの要請により、さらに1年間留任し、直隷巡按を務めました。この時期には、滄州での築城計画がありましたが、劉孜の意見により中止されました。その後、山東按察使に抜擢され、地方行政においてもその手腕を発揮しました。

1460年（天順4年）には、劉孜は山東左布政使に進みました。1461年（天順5年）の春には、右副都御史となり、江南十府巡撫を兼任しました。この地域では、蘇州府と松江府の税制が、周忱の立法以降、頻繁に変更されて混乱していました。劉孜は、この状況を改善するために、周忱の旧法を復活させました。これにより、税制の安定化を図り、民衆の負担を軽減しました。

1465年（成化元年）、応天府で飢饉が発生すると、劉孜は飢民の救済に奔走しました。さらに、江北の飢民が食を求めて流入してきたため、劉孜は諸県の穀物倉を全て開放するように要請し、飢餓に苦しむ人々を救いました。これは、彼の民衆への深い思いやりと、迅速な行動力を示すものでした。

11月、劉孜は南京刑部尚書に任命されました。1468年（成化4年）2月には、高齢のため致仕しました。同年6月己亥、58歳で生涯を終えました。劉孜は、その生涯を通じて、官僚として職務に忠実であり、民衆を思いやる心を持ち続けた人物でした。彼の業績は、明代の歴史に深く刻まれています。

参考資料

• - 『明史』巻159 列伝第47

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