劉度

劉度（生没年不詳）は、後漢末期の動乱期に零陵郡太守を務めた人物です。正史における彼の記録は非常に限られており、その生涯は多くの謎に包まれています。

正史における劉度

正史『三国志』や『後漢書』によれば、劉度は零陵郡の太守として登場します。209年、赤壁の戦いの翌年、劉備が劉琦を荊州刺史とする名目で荊州南部四郡に進攻した際、劉度は他の郡の太守たちと同様に劉備に降伏しました。この降伏以降、彼の生死を含む動向は一切不明です。

また、『後漢書』には興味深い記述があります。「度尚伝」や「南蛮伝」によれば、162年に荊州南部から交州にかけて大規模な反乱が発生した際、荊州刺史として劉度という人物が記録されています。この劉度は反乱鎮圧に失敗し、敗走した末に処罰され、度尚という人物と交代させられたとされています。もしこの劉度が零陵太守の劉度と同一人物であるならば、47年後に同じ地域へ太守として派遣されたことになります。しかし、正史ではこれらの人物が同一人物であるという明確な記述はありません。

小説『三国志演義』における劉度

小説『三国志演義』では、劉度は零陵太守として登場し、劉賢という息子がいる設定になっています。劉度は劉備軍との戦いを避けようとしますが、息子の劉賢の強い主張により、やむなく戦うことになります。劉賢は邢道栄という将軍を率いて劉備軍に挑みますが、邢道栄は戦死し、劉賢も捕虜となってしまいます。これにより、劉度は開城して劉備に降伏することになります。その後、劉備は劉度を再び零陵太守に任じ、領地を安堵させました。

『三国志演義』での配下

邢道栄: 劉度の配下で、勇猛な将軍として描かれますが、劉備軍との戦いで戦死します。
劉賢: 劉度の息子で、父に戦いを主張し、自らも戦いますが、捕虜となります。

まとめ

劉度は正史においては断片的な記述しかなく、その人物像は謎に包まれています。『三国志演義』では、弱腰ながらも息子の説得で戦に臨むという、やや頼りない人物として描かれています。正史と演義の両方において、その後の動向が不明確である点も、彼の人物像をより神秘的なものにしています。劉度という人物は、後漢末期の混乱期に、地方でひっそりと生きた無数の人物の一人として、歴史の片隅にその名を残していると言えるでしょう。

参考文献

『三国志』蜀書2先主伝
『三国演義』

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