劉暢 (梁王)

劉暢（りゅう ちょう）：後漢、梁節王の生涯

劉暢は、生年不詳ながら後漢の時代に生きた皇族であり、梁節王としてその名を知られています。父は明帝、母は陰貴人であり、皇子として生まれました。

汝南王から梁王へ

72年（永平15年）に汝南王に封じられた劉暢は、母である陰貴人が明帝の寵愛を受けたことから、明帝にことのほか可愛がられました。その寵愛は、汝南国の租税収入が他の諸国の倍にも及んだことからも窺い知ることができます。75年に明帝が崩御し章帝が即位した後も、明帝の遺志を尊重した章帝から手厚い賞賜や恩寵を受けました。79年（建初4年）には梁王に徙封され、陳留郡の鄢・寧陵と済陰郡の薄・単父・己氏・成武の合わせて6県が梁国に加増されました。そして、88年（章和2年）3月、劉暢は梁国へと下向しました。

驕慢と没落への序章

聡明であったとされる劉暢ですが、その地位の高さに驕り、法を守らないことも多かったようです。梁国に下向してからは、しばしば悪夢に悩まされるようになり、属官であった卞忌に夢占いをさせました。また、乳母の王礼らが鬼神の事を見ることができると述べたことから、彼らとともに気を占い、鬼神を祭って福利を求めるようになります。卞忌らは劉暢にこびへつらい、「王は天子たるべしと神がおっしゃった」と告げました。劉暢はこれを喜び、梁国の相に政権奪取を相談するに至ります。

企ての露見と温情ある処罰

しかし、93年（永元5年）に劉暢の企みは豫州刺史と梁国の相によって上奏され、露見します。取り調べを受けた劉暢は、その言辞が反抗的であったため、御史は劉暢を廷尉の詔獄に召し出すよう求めましたが、和帝はこれを許可しませんでした。御史はさらに、劉暢から梁国の封を削り、九真郡に徙封するよう求めましたが、和帝は親族に重罰を加えることを忍びず、梁国から成武・単父の2県を削るにとどめました。これに対し、劉暢は上疏して和帝に陳謝しました。

生涯の終焉

98年（永元10年）2月戊寅、劉暢は死去しました。諡は節王と諡されました。

子孫

劉暢には劉堅という息子がおり、彼が後を継いで梁恭王となりました。104年（永元16年）には、劉堅の弟2人が郷侯・亭侯に封じられています。

劉暢の生涯は、皇族としての栄華と、驕慢による没落への序章、そして和帝の温情によって辛うじて保たれた晩年という、波瀾に満ちたものでした。


出典

* 『後漢書』巻50 列伝第40

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