劉欽

劉欽（りゅう きん）

劉欽（紀元前？ - 紀元前27年）は、前漢の皇族であり、宣帝の皇子として淮陽王に封じられました。元帝の弟にあたります。

生涯

母は宣帝に寵愛された張婕妤でした。宣帝は当初、霍皇后の廃位後に張婕妤を皇后に立てようとしましたが、霍氏一族による皇太子暗殺未遂事件を考慮し、子を持たない王婕妤を皇后に選びました。

元康3年（紀元前63年）に淮陽王に封じられた劉欽は、成長するにつれて経書や法律を好み、その才能を発揮したため、宣帝に深く愛されました。一方、皇太子（後の元帝）は寛大で仁の心を重んじ、儒術を好んだため、宣帝は劉欽を「真の我が子」と嘆いたと伝えられています。宣帝は皇太子を廃位して劉欽を立てることも考えましたが、皇太子が民間出身であり、その母の一族である許氏の恩義があったこと、そして皇太子の母が早くに亡くなったことを考慮し、断念しました。

宣帝は丞相の韋賢の子である韋玄成を劉欽の中尉とし、兄への謙譲の意を示しました。

宣帝の死後、元帝の時代になると、劉欽は領国の淮陽に赴任しました。当時、母の張婕妤はすでに亡くなっていましたが、外祖母と母の兄弟がいたため、彼らを淮陽に移住させることを望みました。しかし、母の兄弟の一人である張博は、一族の墓を守りたいという理由でこれを拒否したため、劉欽との関係が悪化しました。

その後、金銭に困窮した張博は、劉欽に元帝への取りなしを依頼すると持ちかけ、劉欽もこれに応じて資金を提供しました。張博は娘婿で『易経』で名高い京房と結託しましたが、京房は一時的に元帝に信頼されたものの、宦官の石顕らによって排斥されました。京房と共に、張博も諸侯王を悪の道に誘ったとして投獄され、処刑され、張氏一族は流刑に処されました。劉欽も連座して逮捕されかけましたが、元帝がこれを阻止し、諫大夫の王駿を通じて劉欽を叱責するにとどめました。

元帝が崩御し、成帝の時代になると、劉欽は成帝の叔父として特に厚遇されました。彼は張博らの事件について上奏し、張氏一族の赦免を願い出ました。丞相と御史大夫は、劉欽が過去の過ちを反省していないと非難しましたが、成帝は恩赦を与え、流刑に処されていた者たちを帰還させました。

河平2年（紀元前27年）、劉欽は死去し、憲王と諡されました。子の劉玄が後を継ぎました。

子女

淮陽文王 劉玄
共楽侯 劉欣

参考文献

* 班固著『漢書』巻14諸侯王表、巻80劉欽伝

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