劉海蟾

劉海蟾（りゅう かいせん）

劉海蟾（りゅう かいせん、生没年不詳）は、五代後梁時代に生きた人物です。諱は操、字は宗成、海蟾子という道号を持ちます。玄英、劉海などの別名も伝えられています。彼は幽州幽都県（現在の北京市南西部）の出身です。

伝記

16歳で科挙の明経科に合格した秀才であり、後梁の燕王劉守光に仕え、丞相にまで出世しました。ある日、正陽子と名乗る道人が現れ、鶏卵十個と銭一枚を要求しました。劉海蟾が言われた通りにすると、正陽子は机の上に銭を置き、その上に次々と鶏卵を積み重ねていきました。それを見た劉海蟾が危ないと叫ぶと、道人は「お前の身分の方がもっと危ない」と言い残して去って行きました。

正陽子の言葉に感銘を受けた劉海蟾は、官職を辞して狂人のように歌い踊り、身の危険を回避しました。その後、道士となり海蟾子と号し、修行に励みました。呂洞賓と出会い、金液還丹の秘訣を授けられ、現在の陝西省西安市鄠邑区の終南山の麓、石井鎮阿姑泉歓楽谷で修道し、仙人になったと伝えられています。後世には、同市の曲抱村の玉蟾台に「劉海廟」が建立されました。成仙後、ある道観で「亀鶴斉寿」の四文字を壁に書くと、同時に数千里四方の道観でも同じことが起こるなど、終南山と太華山を往来しながら各地で様々な神異を顕わしたとされています。

神仙としての劉海蟾

劉海蟾は、仙童の姿で描かれることが多く、その前髪を垂らした髪型が「劉海」という髪型や前髪を意味する言葉の由来になったとされています。明代以降は、財神としても人気を博しました。明代の『列仙全伝』では、八仙の一人として数えられています。

劉海蟾は、全真教の北五祖の一人として尊崇され、1269年に元の世祖から「明悟弘道真君」の封号を与えられました。1310年には、武宗によって「海蟾明悟弘道純佑帝君」の封号が加えられました。

著作

『還金篇』
『黄帝陰符経集解』

伝記資料

『金蓮正宗記』
『金蓮正宗仙源像傳』
* 『歴世眞仙體道通鑑』

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