劉守光

劉守光：桀燕の皇帝、その栄光と没落

劉守光（りゅう しゅこう）は、五代十国時代の動乱期に、短命に終わった桀燕（けつえん）という国の皇帝として歴史に名を残しました。彼の生涯は、親子の葛藤、権力闘争、そして急速な興亡という、激動の時代を象徴する出来事に彩られています。

生い立ちと父への反逆

劉守光は、河朔三鎮の一つ、盧龍軍節度使（ろりゅうぐんせつどし）であった劉仁恭（りゅう じんきょう）の子として、深州（現在の河北省深州市）に生まれました。しかし、青年期に父の愛妾であった羅氏（らし）と関係を持ったことが発覚し、父子関係は断絶。このことが、彼の人生を大きく狂わせるきっかけとなります。

関係断絶後、劉守光は父への復讐を決意。天祐4年（907年）に幽州（現在の北京市）を攻撃します。当時、劉仁恭は城外の大安山（だいあんざん）で宴会を開いており、城の守りは手薄でした。その隙を突いた劉守光は、幽州をあっけなく陥落させ、父・劉仁恭を捕らえることに成功します。

幽州を手に入れた劉守光は、自ら盧龍軍節度使を名乗りますが、兄の劉守文（りゅう しゅぶん）との間で後継者争いが勃発。しかし、開平3年（909年）に劉守文を捕らえて殺害し、幽州における支配権を確立。後梁（こうりょう）から燕王（えんおう）に封じられ、勢力を拡大していきます。

桀燕の建国と滅亡

史書によれば、劉守光は凡庸で愚昧であったと伝えられています。兄を倒した後、その態度はますます尊大になり、父や兄の処遇を天命によるものだと豪語するようになります。また、その荒淫と暴虐ぶりは日増しに増大し、周囲の節度使との関係も悪化の一途を辿りました。

周囲の反対を押し切り、劉守光は911年に皇帝即位を宣言。国号を大燕（だいえん）とし、応天（おうてん）と改元します。しかし、その治世は長くは続きませんでした。

建国直後から、晋（しん、後の後唐）の李存勗（り そんきょく）による攻撃を受け、応天3年（913年）には本拠地である幽州が陥落。劉守光は、幽閉していた父・劉仁恭とともに捕らえられ、桀燕はわずか2年で滅亡しました。

乾化4年（914年）、劉守光は李存勗によって斬殺され、波乱に満ちた生涯を終えました。彼の興亡は、五代十国時代の権力闘争の激しさと、その中で翻弄された人々の悲劇を物語っています。

伝記資料

* 『新五代史』巻39 列伝第27

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