劉粛 (元)

劉粛の生涯と業績

劉粛（りゅう しゅく、1188年 - 1263年）は、金朝およびモンゴル帝国（大元ウルス）において重要な役割を果たした漢人官僚である。字は才卿で、威州洺水県に生まれた。彼は、公務員としてのキャリアを通じて、特に民の生活改善に多大な貢献をしたことで知られている。

若き日の成功

1218年、劉粛は金朝の科挙で進士の地位を獲得し、尚書省令史に任命された。彼の正義感は早くから表れ、あるときには無実の罪で命を奪われそうになっていた者たちのために、減刑を求める力強い主張を行った。この行動は皇帝の怒りを招く結果となったが、彼は正義を貫く姿勢を失わなかった。

その後、新蔡県の県令として任命されると、彼は地元民の生活を向上させるためにさまざまな施策を実施した。当時、賦税は家畜の数によって決まっており、これが問題となっていた。農民たちは自分の牛を隠して農耕に使っていましたが、劉粛が赴任すると、家畜による賦税を廃止し、農業が活性化したことで民衆の生活は豊かになった。

転機と税制改善

また、劉粛は淮河を渡って逃げる民の適切な対処に努めた後、戸部主事の職に就いた。金朝の滅亡後は、東平地方を支配する漢人世侯の厳実氏に仕官し、行尚書省左司員外郎および行軍万戸府経歴に昇進した。この時期には、地方の税金が非常に重かったため、劉粛は税負担軽減のための取り計らいを行った。具体的には、毎年の綿花と色絹の納付を中止させ、民の負担を軽減した。

クビライとの関係

1252年、劉粛は皇族のクビライにより邢州安撫使に任命され、彼の政策に深く関与することとなる。クビライからは公私にわたって信頼され、特に彼の統治時代においては重要な役割を果たすことが期待された。1260年にモンケ・カアンが亡くなると、クビライは即位し、劉粛に真定宣撫使の地位を授けた。1261年には左三部尚書、兼商議中書省事に就任した。

最後の時期と遺産

劉粛の公務は順調でしたが、1262年に職を辞し、1263年に病期を迎え76年の生涯を閉じた。彼の温厚な性格や学問への情熱は、後世の人々に大きな影響を与えた。彼は一度、諸家の易説を集めて『読易備忘』を編纂したほど、学問にも優れていた。

家族においては、息子には礼部侍郎の劉憲、大名路総管の劉愻がおり、孫には翰林学士承旨となった劉賡がいる。劉粛の業績は、今なお多くの人々の記憶に生き続けている。

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