力丸ダム

力丸ダム：福岡県宮若市の多目的ダム

力丸ダムは、福岡県宮若市、遠賀川水系八木山川に建設された高さ49.5メートルの重力式コンクリートダムです。洪水調節、上水道、工業用水の供給を目的とした福岡県営の多目的ダムとして、地域社会に貢献しています。

歴史的背景

1953年（昭和28年）の西日本水害は、九州地方に甚大な被害をもたらしました。特に八木山川流域は水害の常襲地域であり、抜本的な治水対策が急務となりました。また、下流の直方市や北九州市では、人口増加と工業化が急速に進み、水需要が逼迫していました。これらの背景から、洪水調節、水道用水、工業用水の確保を目的とした力丸ダムの建設が計画されました。

1959年（昭和34年）に工事が開始され、数々の困難を乗り越え、水没した36世帯の協力のもと、1965年（昭和40年）7月に完成しました。ダムの完成は、流域住民の生活と産業を支える上で重要な役割を果たしています。

悲しい出来事

力丸ダムは、その美しい景観とは裏腹に、過去に二つの痛ましい事件の舞台ともなっています。

OL強姦殺人事件

1989年7月、力丸ダム近くでOLの全裸死体が発見されました。犯人は、ナンバープレートが外れていると嘘をつきOLを車から降ろし、暴行後、ダム付近で殺害しました。犯人は逮捕され、無期懲役の実刑判決が確定しました。

保険金殺人事件

1979年11月には、暴力団員の男が妻に多額の保険金をかけ、車ごとダム湖に転落させ殺害するという事件が発生しました。男は、ホステスらの誕生会を湖畔で開き、妻を呼び出しました。妻は男の知人であるAの運転する車に乗りダムに向かいましたが、Aは男に雇われており、車ごとダムに転落し、妻を殺害後自力で脱出する手はずでした。しかし、落下の衝撃が強く、Aも死亡しました。警察は当初交通事故として処理しましたが、男の経済状況から保険金殺人と断定し捜査。共犯の組幹部の自供により、事件の全容が明らかになりました。男は無実を主張しましたが、無期懲役判決が確定しました。

周辺施設

力丸ダム周辺には、自然や歴史に触れることができるスポットが点在しています。

千石峡: ダム下流約2kmにわたる渓谷で、美しい自然景観が楽しめます。
笠木城跡: 笠置山（標高425m）にあった中世の山城跡です。
千石公園: キャンプ場などの施設があり、アウトドアレジャーを楽しめます。
加茂公園
笠城ダム公園

かつては、ダム湖畔にリゾート施設がありましたが、2000年代までに閉鎖・解体され、一部の施設跡が残っています。

周辺のダム

力丸ダム周辺には、以下のダムがあります。

犬鳴ダム
猪野ダム
本入ダム
久保白ダム
鳴淵ダム
久原ダム
笠城ダム

まとめ

力丸ダムは、治水と利水を目的とした重要な施設であるとともに、過去の悲しい事件を記憶する場所でもあります。周辺の自然や歴史に触れながら、ダムの役割と歴史について考えてみてはいかがでしょうか。

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