加入戦術とは？意味をやさしく解説 - サードペディア百科事典

加入戦術（かにゅうせんじゅつ）

加入戦術とは、特定の勢力が自らの構成員を大量に集めるのが困難な状況において、他の団体に加入し、内部からの影響力を徐々に拡大していく手法を指します。この戦術の最終的な目的は、既存の組織を乗っ取るか、新しい組織を派生させることです。

概要

この手法は、多くの場合、極左団体や急進的な新興宗教団体といった小規模な勢力によって用いられます。特に、政党や学生自治会、住民団体が主要な対象となっており、自らの思想や目的に近しい団体へ加入し、その中で影響力を高めることに取り組みます。この戦術は、内部での民主主義を都合良く活用する面があり、特にトロツキストが好んで使用してきました。

歴史的背景

加入戦術の起源としては、フランスにおけるトロツキズムの組織「フランス共産主義者同盟」が、フランス社会党に対して行った戦術が初めての例とされています。このケースを皮切りに、世界中のトロツキズムに属する団体がこの方法を採用するようになり、その結果、反トロツキズム的な観点から見れば「トロツキスト特有の組織戦術」と認識されるようになりました。

日本における加入戦術

日本の新左翼党派も、独自に勢力を拡大することが難しかったため、加入戦術を利用しました。最も狙われた対象は、日本社会党であり、その自由に異論を表明できる文化が、加入戦術を行う上での要因となっています。具体的には、日本社会党の参議院議員であった目黒今朝次郎などが、革命的共産主義者同盟からの支持を受けるようになりました。さらに、革命的共産主義者同盟全国委員会や日本労働党といった団体も、社会党系の候補者への支援や投票を呼びかけました。

また、社会党系の団体から分裂した革命的労働者協会は、社会党と同じ名前を名乗るなど、加入戦術の多様な利用が見られました。このように、既存組織の内部に入り込み、自らの思想や戦略を広めていく様子が垣間見えます。一方で、日本共産党は中央集権的な仕組みを採用しており、組織内での影響力拡大は難しいものの、過去にはトロッキスト系の団体がその中で活動を行ったこともあります。

韓国における事例

韓国でも、加入戦術に関する報道があります。特に、民主労働党の内部に朝鮮労働党の工作員がいたとされる事件があります。このような動きも、加入戦術と見なされることがあります。

アメリカにおける事例

アメリカでは、左派系政治団体「アメリカ民主社会主義者」に属するアレクサンドリア・オカシオ＝コルテスが民主党からの出馬によって当選した事例もあり、加入戦術の別の形態として注目されています。

参考文献

このような加入戦術に関する詳細な情報は、以下の文献に記載されています。

- 高沢皓司、佐長史朗、松村良一編『戦後革命運動事典』新泉社、1985年
- 警備研究会編『わかりやすい極左・右翼・日本共産党用語集（改訂）』立花書房、2001年

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