加地信実

加地信実（かじ のぶざね）は、鎌倉時代前期から中期にかけて活躍した武将です。佐々木盛綱の嫡男として生まれ、佐々木信実とも記されます。鎌倉幕府の御家人であり、越後国加地荘（現在の新潟県新発田市）の地頭、そして備前国守護を務めました。

生涯

父である佐々木盛綱は、平氏追討の功績により越後国加地荘を賜り、この地に土着しました。盛綱は加地氏の祖となり、信実もその血を受け継ぎました。

信実が15歳の時、建久元年（1190年）7月20日に大倉御所で行われた双六の催しにおいて、事件が起こります。工藤祐経から侮辱を受けた信実は激高し、祐経の額に石礫を投げつけました。これにより祐経は流血し、信実は父である盛綱から義絶されてしまいます。若き日の信実の血気盛んな一面がうかがえるエピソードです。

しかし、信実はその後、武将として重要な役割を果たすことになります。承久の乱（1221年）において、承久3年5月29日、酒匂家賢ら後鳥羽上皇派が越後の願文山城に立て籠もりました。幕府は信実をこの追討軍の大将に任じ、北条朝時を補佐させました。信実は見事に籠城軍を打ち破り、その後、結城朝広と共に北陸道の軍勢を率いて上洛を指揮しました。この功績により、承久3年（1221年）に備前国守護に補任され、その武勇が認められました。

寛仁元年（1243年）に、信実は68歳で亡くなったとされています。信実の子孫は、磯部氏、倉田氏、新発田氏、竹俣氏といった氏族となり、揚北衆として上杉謙信に仕えました。信実の血筋は、戦国時代まで武士として生き抜き、その名は歴史に刻まれました。

加地信実の生涯は、若き日の過ちから一転、武将としての名声を確立し、子孫が後世に名を残すという、波瀾万丈なものでした。彼の行動は、鎌倉時代という激動の時代を生き抜いた武士の姿を今に伝えています。

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