加納八幡神社

加納八幡神社

概要

岐阜県岐阜市加納地区に鎮座する加納八幡神社（かのうはちまんじんじゃ）は、古くから地域の人々の信仰を集める由緒ある八幡宮です。この神社でお祀りしている主祭神は、第十五代天皇とされる応神天皇（おうじんてんのう）です。八幡信仰は、広く武勇の神、国家鎮護の神として崇敬されており、加納八幡神社もまた、その長い歴史を通じて地域の守護神としての役割を果たしてきました。

由緒と歴史

加納八幡神社の創建に関する正確な記録は現存しておらず、その起源を明確に辿ることは困難です。しかし、いくつかの説が古くから伝えられています。その中でも有力視されている説の一つに、かつてこの地に築かれていた沓井城（くついじょう）の鬼門除けとして創建されたというものがあります。鬼門、すなわち北東の方角は、古来より邪気が侵入しやすい方角として恐れられており、城郭や屋敷の鬼門に鎮守の神社を配置することで、災厄を防ぎ、安全を守るという考え方が広く行われていました。

時代が下り、江戸時代初期の慶長6年（1601年）のことです。徳川家康の命を受け、奥平信昌（おくだいら のぶまさ）が新たな城として加納城（かのうじょう）の築城を開始しました。この加納城の建設予定地が、当時神社の鎮座していた場所にかかったため、加納八幡神社は現在の地へと遷座（せんざ）、つまり移転することとなりました。新たな鎮座地もまた、加納城の鬼門にあたるとされ、加納城の完成後も引き続き城の鬼門除けとして、また加納藩の城下町の守護神として、藩主をはじめとする人々の篤い信仰を集めることになりました。

近代以降も、加納八幡神社は地域の重要な神社としてその地位を保ち続けました。第二次世界大戦後の混乱期を経て、神社の国家管理が廃止され、新たな神社運営体制が構築される中で、加納八幡神社は特筆すべき歴史的な役割を担いました。昭和21年（1946年）に、岐阜県内の各神社を包括し、指導連絡を行うための組織として岐阜県神社庁が設立された際、その設立初期の事務所が加納八幡神社の境内に置かれたのです。これは、当時の加納八幡神社が県内の神社界において中心的な存在であったことを示すものであり、その歴史的意義を物語る重要なエピソードと言えます。

境内社

加納八幡神社の境内には、様々な御神徳を持つ複数の境内社が祀られています。これらの境内社も、参拝者によって広く信仰されています。主な境内社としては、火伏せや火災鎮静の神として知られる秋葉神社（あきばじんじゃ）があります。また、商売繁盛や五穀豊穣、家内安全の神として信仰される厚見稲荷神社（あつみいなりじんじゃ）、健康長寿や無病息災を願う寒神社（かんじんじゃ）、そして海上安全や技芸上達などの御利益があるとされる琴平神社（ことひらじんじゃ）などがあります。これらの境内社を合わせて参拝することで、様々な願い事を祈願することができます。

交通アクセス

加納八幡神社へのアクセスは、公共交通機関を利用する場合、比較的便利です。鉄道を利用する場合、名古屋鉄道名古屋本線の茶所駅（ちゃじょえき）が最寄り駅となります。茶所駅からは、南西方向へ徒歩でおよそ5分ほどの距離に神社があります。

バスを利用する場合、JR岐阜駅または名鉄岐阜駅から乗車することができます。JR岐阜駅北口にあるバスターミナルでは5番のりば、名鉄岐阜駅に近い名鉄岐阜のりばでは2番のりばから、岐阜バスの岐南町線に乗車してください。行き先としては「E15 県総合医療センター（領下経由）」行き、または「E16 岐南町三宅」行きが利用可能です。これらの系統のバスに乗車し、最寄りのバス停で下車後、徒歩でアクセスすることになります。

結び

加納八幡神社は、創建の時期は明確ではないものの、沓井城や加納城といった地域の歴史における重要な拠点と深く関わりながら、その鬼門を守る神社として古くから信仰されてきました。特に加納城の守護神として、城下の人々の心の拠り所となり、戦後には岐阜県神社庁の出発点となるなど、地域の歴史、そして神社の歴史において重要な位置を占めています。現在も、地域の人々によって大切に守られ、多くの参拝者が訪れる神社です。

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