加納城

加納城の概要と歴史

岐阜県岐阜市加納丸の内に位置していた加納城は、日本の歴史において重要な役割を果たした平城です。徳川家康の指導の下、江戸時代の早期に築城され、後に加納藩の藩主の居城として利用されました。加納城跡は、現在国の史跡として指定され、城の歴史を物語っています。

城の構造

加納城は、南北に細長い形状をしており、2重の堀に囲まれています。大手門は中山道に面し、独特の屈曲を持つ構造をしています。内堀は本丸を取り囲む形で整えられ、北堀からは障子堀が発見されています。外堀は東側に荒田川、北側に清水川、西側に長刀堀が流れ、南側は加納中学校近くに位置していました。

城の主要部分は本丸を中心に、東には二ノ丸、北には厩曲輪と三ノ丸、南には大藪曲輪がありました。また、城の石垣には加工が難しいチャートが使われています。

本丸の特徴

本丸は方形で、外枡形が突出している点が特徴的で、これは初期の徳川系城郭に共通する特性です。『加納城修理絵図』には、北西の隅に天守台があり、他の3つの隅に2重の隅櫓が描かれています。ただし、天守は実際には建てられず、代わりに二ノ丸の北東隅に御三階櫓が設けられました。

御三階櫓とその歴史

御三階櫓は、享保13年（1728年）の城絵図によれば、独立式層塔型の3重4階構造です。この櫓は二ノ丸の東北隅に位置し、「お三階」と呼ばれていました。伝説によれば、岐阜城から築城された天守が移築されたとも言われ、構造には様々な改変の跡があります。

しかし享保13年に落雷による火事で焼失し、その後廃藩置県を迎えました。今日では、岐阜地方気象台が建てられた場所にあたります。

加納城の歴史と沿革

加納城の歴史は文安2年（1445年）にまでさかのぼり、当初は沓井城として築かれました。その後、関ヶ原の戦いを経て、慶長6年（1601年）に岐阜城が破却され、加納城が築城されました。城の縄張りは徳川家康自らが行い、建材は主に岐阜城のものが再利用されました。

加納城は、次いで加納藩の藩主である奥平氏の居城となりました。その後、寛永9年（1632年）に奥平忠隆が死去し、しばしば城主が交替しました。結局、明治維新まで永井氏が藩主となり、その後の歴史は城の衰退を迎えます。

近代の加納城址

明治4年（1871年）に加納県が設置され、同年岐阜県に統合された後、明治5年には廃城令が出されて城は取り壊されました。しかし、城門などは売却され、いくつかは現在も特定の場所に移築されています。

近年の発掘調査によって、前期加納城の土塁や礎石の跡、古い土器などが見つかり、その遺構を利用して加納公園として整備されています。

現存建物と文化的影響

加納城には、いくつかの現存する建物もあります。たとえば、岐阜市の日置江には二の丸門が移築され、加納市内にも個人宅に移された城門があります。また、加納城の一部は、歌川広重の浮世絵作品にも描かれており、文化的な影響を持ち続けています。

加納城は、岐阜の風景と歴史を今に伝える重要な遺産であり、様々な体験を通じて人々がその魅力に触れることができる場所です。

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