加藤明軌

加藤明軌（かとう あきのり）

加藤明軌は、江戸時代後期に近江水口藩の第10代藩主を務めた人物です。文化人としての側面も持ち、書や俳句に優れた才能を発揮しました。

生涯

文政11年（1828年）に第9代藩主・加藤明邦の次男として江戸で生まれました。弘化元年（1844年）に将軍徳川家慶に謁見し、同年12月には従五位下・和泉守に叙任されました。弘化2年（1845年）に父の隠居により家督を継ぎ、水口藩の第10代藩主となります。同年3月には越中守に遷任しました。

藩主としては、日光祭礼奉行や大坂加番などの幕府の役職を務めました。藩政においては、歴代藩主時代の財政難に加え、嘉永6年（1853年）の旱魃に見舞われるなど苦難が続きました。そのため、櫨の植樹を奨励するなど、藩の財政を立て直すための政策を実施しました。

幕末期には、文久元年（1861年）の和宮警護、文久3年（1863年）の伏見警備、元治元年（1864年）の禁門の変における京都警護など、幕府の要請に応じて警備の任に奔走しました。慶応2年（1866年）に弟で養子の加藤明実に家督を譲り、隠居しました。

明治16年（1883年）に東京の旧邸で死去。享年56歳でした。

人物

加藤明軌は、藩主として藩政に尽力する一方で、文化人としても才能を発揮しました。書や俳句に親しみ、多くの作品を残したと伝えられています。

系譜

父：加藤明邦
母：宮（側室）
正室：泰（松平直寛の娘）
側室：美津
子女：小笠原貞規（次男、小笠原貞正の養子）、加藤明俊
養子：加藤明実（実弟）

加藤明軌は、激動の時代を生きた藩主として、また文化人として、その名を歴史に刻んでいます。

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