加賀井重望

加賀井重望（かがのい しげもち）

加賀井重望は、永禄4年（1561年）に生まれ、慶長5年7月19日（1600年8月27日）に没した戦国時代から安土桃山時代にかけての武将、大名です。美濃国加賀野井城を居城とし、別名として重茂、秀重、秀望とも称しました。幼名は弥八郎。

生涯

加賀井重望は、加賀井重宗の子として生まれました。初めは織田信長に仕え、信長没後はその次男である織田信雄に仕えました。

天正12年（1584年）の小牧・長久手の戦いでは、父と共に織田方として参戦し、武功を挙げました。しかし、加賀野井城は豊臣軍によって落城。父・重宗は豊臣秀吉に仕えることを拒み隠棲しましたが、重望は秀吉にその武勇を認められ使番として召しだされ、1万石を与えられました。

慶長5年（1600年）、関ヶ原の戦いの直前、三河国池鯉鮒（現在の愛知県知立市）において、水野忠重、堀尾吉晴らと宴席を共にしていた際、些細なことから口論となり、忠重を殺害、吉晴に重傷を負わせました。しかし、その場で吉晴によって討たれ、命を落としました。享年40。墓所は知立市宝蔵寺にあります（知立市指定文化財）。

重望の子息（名前は不詳）は、関ヶ原の戦いで西軍が敗れた後、大垣城に籠城しましたが、落城時に忠重の子である水野勝成によって処刑されたと伝えられています。

人物

加賀井重望は、武勇に優れた人物として知られています。加賀野井城が豊臣の大軍に包囲された際にも徹底抗戦を貫き、その武勇を賞した秀吉によって大名に取り立てられたという逸話も残っています。

関ヶ原の戦い直前の不審な行動の背景については、石田三成から東軍の情報を探る、あるいは要人を暗殺する密命を帯びていたという説もあります。水野忠重は徳川家康の叔父、堀尾吉晴は東軍の有力武将であり、これらの人物を襲撃したことは、この説を裏付けるものとして語られることがあります。ただし、この説は『徳川実紀』にのみ記されており、確証はありません。

また、逸話として、弥八郎（重望の幼名）が伊吹山に住み着いて人々を苦しめていた凶族（鬼神）を討伐したという話も伝わっています（『羽島市史 資料編』より）。

さらに、『武者物語』には、加賀井弥八郎が、刈屋の城主である水野惣兵衛と堀尾帯刀が池鯉鮒で軍事を談合していたところに現れ、争いとなり、弥八郎が惣兵衛を殺害、帯刀をも討とうとしたが、帯刀が辛うじて弥八郎を討ち留めたとあります。その際、弥八郎の鼻紙袋を調べたところ、惣兵衛と帯刀を討ち取れば三河と遠江を与えるという石田三成の証文が出てきたと記されています（『羽島市史 資料編』より）。

関連事項

* 加賀井氏

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