加賀佐野駅

加賀佐野駅（かがさのえき）

加賀佐野駅は、かつて石川県能美郡寺井町石子（現在の能美市石子町）に位置していた、北陸鉄道能美線の廃駅です。地域の大切な交通網の一部として、多くの人々に利用されました。

歴史

この駅の歴史は、大正時代に始まります。1925年（大正14年）3月21日、能美電気鉄道の駅として営業を開始しました。その後、運営母体は変わり、1939年（昭和14年）8月1日には金沢電気軌道の所属となりました。

戦中の1945年（昭和20年）には、小松線の鵜川遊泉寺駅から当駅まで鉄道路線を延長する壮大な計画が進められ、実際に着工もされました。しかし、残念ながらこの計画は完成に至ることなく中止されています。

駅の設備にも変化がありました。1967年（昭和42年）1月14日には貨物の取り扱いが終了し、側線が撤去されました。同時に、駅員が配置されない無人駅となっています。

そして、1980年（昭和55年）9月14日、能美線自体の廃止に伴い、加賀佐野駅もその役割を終え、廃駅となりました。

時を経て、2020年（令和2年）4月1日には、地域の要望を受け、旧駅跡からおよそ100メートル東側の場所に設けられたバス停留所が「加賀さの」と名付けられ、かつての駅名が形を変えて復活しました。

年表

1925年（大正14年）3月21日：能美電気鉄道の駅として開業。
1939年（昭和14年）8月1日：金沢電気軌道の駅となる。
1967年（昭和42年）1月14日：側線を廃止し、無人駅化。
1980年（昭和55年）9月14日：能美線廃止に伴い廃駅となる。
* 2020年（令和2年）4月1日：旧駅跡近くに「加賀さの」バス停が設置され、名称が復活。

駅名の由来

駅名は、近隣の佐野という集落にちなんで名付けられました。しかし、駅の実際の所在地は石子であり、駅前を流れる用水路が佐野と石子の境となっていました。興味深いことに、工事施行申請の段階では駅名は単に「佐野」とされていましたが、開業を迎えるわずか3日前に提出された届出により、「加賀佐野」という名称に正式に変更されています。

駅構造

加賀佐野駅は、線路の南側に面した木造駅舎を持ち、それに接する片面ホーム1面1線を有する地上駅でした。かつては、貨物列車のための側線も設けられており、これは上下どちらの方向からも出入りが可能な構造でした。

利用状況としては、周辺地域の住民が通勤・通学のために利用するほか、この地域で生産される伝統工芸品である九谷焼を全国各地へ発送するための貨物輸送も重要な役割を担っていました。

現状

鉄道路線が廃止された後、加賀佐野駅の跡地は地域のレクリエーション空間として再整備されました。現在は、サイクリングロードや小公園として活用されており、かつての賑わいを偲ぶ場所となっています。しかし、残念ながら駅舎やホーム、線路といった鉄道施設の遺構は残されておらず、駅が存在したことを示す石碑なども建立されていません。

隣接駅

北陸鉄道能美線においては、以下の駅に挟まれていました。

湯谷石子駅 - 加賀佐野駅 - 末信牛島駅

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