加越能鉄道加越線

加越線の概要

加越線（かえつせん）は、かつて富山県小矢部市の石動駅から、同県東礪波郡庄川町（現：砺波市）の庄川町駅を結び、地域交通を支えていた鉄道路線です。この路線は1922年に全線が開通し、1972年9月16日にその役目を終えました。路線距離は19.5kmで、全線が単線で非電化でした。運行は主に蒸気機関車から気動車へと移行され、当時の交通事情に合わせた運営が行われていました。

歴史的背景

加越線のルーツは、1897年の中越鉄道（現在の城端線）の開通にさかのぼります。しかし、周辺地域の住民の多くは鉄道の利便性から取り残されていました。そのため、地域の人々は鉄道の設立を強く望むようになり、1912年に砺波鉄道が設立されます。この鉄道は北陸線の石動駅から中越鉄道の福野駅を経由して青島町へ至る路線を目指しました。

1915年には福野駅から青島町駅（後の庄川町駅）間が開業し、1919年には金福鉄道を合併し、加越鉄道に改称されました。「加越」は、加賀国と越中国の頭文字を組み合わせたもので、金沢へと至る路線を計画して名付けられました。1922年には残りの石動駅から福野駅までの開通が実現し、全線がついに開通しました。この時期から運行されるようになった蒸気機関車は、やがて合理化のために気動車に置き換えられていきました。

車両と技術

初期の加越線では蒸気機関車が主に使用されていましたが、1930年代に入ると気動車の導入が進みました。1931年にはガソリン機関車が導入され、さらに1932年にはディーゼル機関車も運行に加わりました。加越線でのディーゼルカーの採用は、日本でも早い事例の一つとされています。1931年にはガソリン動力併用のライセンスが取得され、数両のガソリンカーが運行を開始しました。

経済的な盛衰

1970年代に突入すると、庄川地区の小牧ダム建設による資材輸送で一時は活況を呈しましたが、その後は不況が影響し、営業成績が落ち込むようになりました。1964年をピークに旅客輸送は減少し、その後も沿線の工場からの輸送がトラックに移行することでさらに業績は悪化しました。そして1972年9月15日には全線が廃止され、翌日にバス路線に変わることとなりました。

現在の利活用

加越線跡地は富山県により買い上げられ、現在は自転車専用道路として再利用されています。この自転車道は地元の高校生たちによる通学やイベント利用にも大いに役立っており、地域の活性化にも寄与しています。また、過去の駅舎の一部は文化財として保存されており、地域の歴史を今に伝えています。

総括

加越線は富山県の地域交通の重要な役割を担い、1915年の開業から1972年の廃止まで、地元住民にとって欠かせない交通手段でした。その後の利活用が地域の発展に寄与していることからも、その影響力は今なお色あせることがありません。

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