助川弘之

助川弘之：土浦市政と地域社会に尽くした多才な人物

助川 弘之（すけがわ ひろゆき、1928年3月22日 - 2013年9月8日）は、日本の政治家、医師、教育者、そして市民運動家として、生涯を通じて茨城県土浦市とその周辺地域の発展と環境保全に貢献した人物です。土浦市長として16代から19代まで、実に4期16年にわたり市政を率いたほか、多岐にわたる要職を歴任し、地域社会に深い足跡を残しました。

生い立ちと医師への道

昭和3年、助川氏は土浦町の敷島町（現在の土浦市桜町）に、父・助川喜四郎氏の三男として生を受けました。幼少期には、第二次世界大戦末期の東京大空襲という過酷な状況に遭遇しながらも、九死に一生を得る経験をしています。戦後、勉学に励み、東京慈恵会医科大学医学部で医学を修め、医師免許を取得しました。この医師としての背景は、後の政治活動や医療・福祉分野での貢献に繋がる基盤となりました。

政治家としての歩み：土浦市長として

医師としてのキャリアを積む中で、助川氏は地域社会への貢献という志を政治の道に見出します。そして、1987年に当時の土浦市長である箱根宏氏の死去に伴って行われた市長選挙に立候補し、激戦の末に初当選を果たしました。これを皮切りに、1991年、1995年、1999年と連続して市長選挙に勝利し、異例ともいえる4期にわたって土浦市政の舵取りを担いました。市長在任中、彼は地域住民の生活向上や都市基盤整備など、多岐にわたる政策を推進しました。

幅広い分野での貢献

助川氏の活動は、市長職に留まりませんでした。彼は、地域社会の様々な組織において重要な役割を果たしています。

医療・福祉分野: 医師としての専門性を活かし、土浦市医師会裁定委員や、学校法人筑波研究学園理事、筑波メディカルセンター病院理事長といった医療機関の要職に就任。また、介護老人保健施設豊浦の施設長も務めるなど、地域医療や福祉の向上に尽力しました。
地域活動・教育: 土浦ライオンズクラブ会長として社会奉仕活動を推進。土浦市教育委員長として教育行政にも関与しました。また、土浦市相撲連盟顧問として地域の文化・スポーツ振興にも貢献しています。
広域行政・公安: 茨城県公安委員長として県内の治安維持に貢献したほか、土浦市、千代田町、霞ヶ浦町、新治村といった周辺自治体との任意合併協議会の会長を務め、将来的な広域連携の礎を築くための調整役も担いました。
環境・インフラ: 一般国道6号牛久土浦バイパスの道路緑化検討委員を務めるなど、インフラ整備における環境配慮にも関心を示しました。

これらの役職は、助川氏がいかに多角的かつ精力的に地域社会に関わっていたかを物語ります。

霞ヶ浦の保護への情熱

助川氏の晩年における特筆すべき活動の一つは、霞ヶ浦の環境保全への強い思いでした。彼は「霞ケ浦の再生を考える会」の会長に就任し、また「いのちの水・霞ヶ浦を守る市民ネットワーク」の代表も務めるなど、積極的に霞ヶ浦の再生と保護を訴え続けました。日本の主要な湖沼である霞ヶ浦の水質悪化や環境破壊に対し、市民運動の先頭に立って問題提起を行い、その保全の重要性を訴えかけました。この活動は、彼の地域への愛情と、将来世代へ美しい自然を残したいという強い意志の表れでした。

受章と逝去

長年の地域社会への多大な貢献が認められ、2013年には旭日小綬章を受章しました。これは、彼の公職における功績や、市民活動を通じた社会貢献に対する高い評価を示すものでした。同年9月8日、助川氏はすい頭部がんによる衰弱のため、85歳でこの世を去りました。彼の逝去は、土浦市にとって大きな損失であり、その功績を称え、土浦市民会館において準市葬が執り行われました。当時の土浦市長であった中川清氏が葬儀委員長を務め、多くの市民が別れを惜しみました。

助川弘之氏は、医師として人々の健康を支え、政治家として土浦市の発展を導き、そして市民運動家として地域の宝である霞ヶ浦を守ろうとしました。彼の生涯は、地域社会への献身と、多岐にわたる分野でのリーダーシップによって彩られていました。

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